箸袋の教訓

人と話をするとき。すぐアドバイスなどが求められるときは、メモをとる姿勢をとりながら、頭に刻み込み、言いたいことをしっかり聞いてから即座に回答する。
メモを見直すことは、まずない。覚えるために書きなぐる。
セミナーや授業など聴くときは、ノートがあるといい。書きながら聴くことで頭に入りやすい。

会食の場では、私自身はあまりメモはとらない。どうしてものキーワードが出てきたとき、忘れてはならないとき。でもメモ帳が手元にないときは、テーブルの箸袋をつかい、メモをする。ときにはテーブルにある紙ナフキンを拝借して・・ということもある。
以前、お手伝いしていたイタリアンのレストランでは、テーブルいっぱいに白い紙を敷き、テーブルクロスかねて、大きなメモとしてもご自由に使ってください。というユニークなサービスをしていた。これはアメリカのレストランでも発見して、グッドアイデアだと思っていた。

それはそれとして、日本でのお話し。
真面目なビジネスマン、しかも経営者たちの会食には、メモがつきものになる。
歓談しながら、酒を飲みながらも、時々メモをとったり、メモをとりながら考えている人もいる。そんな集団もときには存在する。かなり真面目だ。
年に1~2度集まる経営者の会では、箸袋が活躍する。もちろん洋食のお店ではそうはいかない。居酒屋だと便利だ。
いい話になると、皆さん知らぬまに、箸袋にメモを始める。
最初は折りたたんだまま、もっと書きたくなったら箸袋を解体し、最後は展開図になり、裏表ぎっしりと書かれる。
足りなくなったら、隣の人の分まで拝借する。
その光景がとても微笑ましい。

箸袋のメモは、会議のノートに書かれたものよりも、なんとなく価値があるものだ。
会食のときのメモは、かなり新鮮であり、そこで何かが浮かぶこともあるのだ。
メモするワードは、酔っていても「忘れてはいけない。」と思うほどのものであるから。
彼らは、それを持ち帰り、他のノートに書き写したり、あるいは翌朝も見直しているのだろう。
ああ、昨夜も勉強になったと。

私は、赤い顔をしながらも、せっせと箸袋にメモする男たちが、とても好きだ。

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