自分たちの代で終わる。だから・・

佐渡の玲子さんの話は、以前ここで書いたことがある。
ケーキやの女将さんで、以前、全国各地の物産展を飛び回り、
ご主人が作ったお菓子を一生懸命販売してきた。
ある出会いから、その後池袋に、日本橋にと、
そこにいるといわれたら、応援にかけつけたものだ。

しかし、その元気印の玲子さんが病に倒れ、
生死をさまよい、もう玲子さんのあの接客は、元気なお顔は
見ることができないのかなと心配していた・・・あれから3年。
玲子さんから、
「完治した!もう来なくていいと、医者に言われました!」
とのファックス。
そして今回の約1年ぶりの佐渡行きに、玲子さんは笑顔で迎えてくれた。
彼女は私が佐渡へいくたびに、会いにきて近況を話し、
こちらの話も熱心に聞き、メモをとる。
病気は彼女を変えた。
がむしゃらに外へ外へと向かっていたのが、病気で動けない日々が
あり、変わった。
店がきれいになった。掃除をするようになったとのこと。
前は忙しかったから、後回し。
今は外に出るのではなく、店でお客様を迎え、
地元で商売することになった。

「あと10年ぐらいですかね。動けるとしても・・」
夫婦で店をやり続け、そしていつか終わるのだという。
今からできることを、やりたいとのこと。
自分もうれしく、周囲もうれしく、30余年営業をしてきたこの店が
ここ佐渡でがんばってきた歴史を残せるようなことができたらいい。

がんばりすぎず、毎日こつこつと、楽しくできること。
儲けすぎないでいいから、続けること。

この店のファンは全国にいる。
そう長年物産展に出て、売るだけでなくお客さんとの
関係をつくってきたから。それが、がむしゃらに働いた時代の成果だ。

その方たちに、1枚1枚毎日ハガキを書くだけでも、大仕事だ。
お客様の顔を思い浮かべ、手紙を書く。ご本人にももらう人にもうれしい。
佐渡から感謝を込めて・・。
こういう道もあるのだな・・。玲子さんは
「気にかけてもらって、本当にありがとうございます。」
といい、別れ際に何度も何度も握手した。
この代で終わる。だから、悔いを残さないように。
自分にも言い聞かせ、佐渡を出る。

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