マカオを思わせる、島国の島

佐渡
1年に一度、佐渡の企業さんに会いにいく機会がある。新潟市からジェットフォイルで1時間。カーフェリーで2時間半。なぜか同じ新潟県への移動なのに、ちょっと海外に行くような気持ちになってしまう。船に乗って島に行くという行為は出張であっても少し情緒的になる。
今回は往きは時間節約のためジェットフォイルに、復路はぜひ新しいカーフェリー「ときわ丸」でということになる。往きはまるで香港からマカオへ行くような気分になる。ジェットフォイルであること、所要時間が似ている点からそう思う、そして、現代の町からタイムスリップした懐かしの町へ行くというギャップも共通している。でも、マカオに着いたときと佐渡に着いたときの感覚はちょっと違う。マカオのフェリー乗り場にひとり初めて降り立ったときは治安が悪いのでは?変な人に捕まったらどうしようと思い、用事をすませてとんぼ返りで香港へ戻った。(さすがに何度も行くことで、すっかり慣れたが)佐渡はフェリー乗り場に降り立ったとき、佐渡おけさが流れ、なんとものんびりした空気に包まれ、現実を思わず忘れそうになる。日本は島国、佐渡はその島国に属する島。この島は自給自足ができ、関西の文化も息づく歴史ある。最近ではフランス人が移住し、この地でワインを作り始めた・・また有名な映画監督、俳優が専用機でワインを買い付けにくる・・など、東京でもどの町にもない吸引力で人々を寄せ付けている一面、やはり人口は減っているため、将来は心配。
どこを見てもレトロであり、人々も素朴であり・・・。海あり、山あり・・・。
わずか半日の滞在で、とんぼ返りなのに、帰り際フェリーに乗り、船が動き始めたときちょっと悲しいような、後ろ髪をひかれるような思いにもなった。この島からある日、新潟へ東京へ出発した若者たちは多数いる。彼らが島を出るときどんな気持ちだったろう・・・と想像し
じんとしてしまった。
日本は島国なのに、中に住んでいるとそこがわが世界になる。この島に住む方も同じこと。
またここを訪れたい。できれば、ゆっくりと。いい日本の原風景がここにある。

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