最高にかっこいい!と思えたラストステージ

とある株主総会に参加した。応援している会社だ。今回は、18回の議長をつとめてこられた総会の最終回。そう、総会の議長はその会社の社長がつとめるが、この総会後、社長を交代、卒業されることになっていた。
私が初めてお会いしたのは、社長になられて間もない頃だったと思う。
それから公私ともにいろいろ、おつきあいをいただき、まさに心族として、勉強もさせていただき、また刺激もいただいた。
その議長の最後の総会だ。
例年どおりに議事進行。この会社ならではの、恒例行事かと思うような、ファンの集いのような和やかないい質疑応答の時間。
まったくいつもどおりだ。
しかし、採決が近づくにつれて、なぜか涙が一筋流れた。
もうこの光景を見ることはないのだな。なんとも、株主とのやりとりがうまいというか、コミュニケーション力あふれる絶妙なやりとり。
例年通りの株主からの質問というよりは、要望が出され、それに対し、議長が各役員に回答をふる。足りないところは議長が補足する。
このやりとり自体に、この会社のそういうやり方に株主はきっと共感をもっているはずだ。時折会場からこぼれる笑いにそれを察する。

実は、総会当日の前夜(深夜)に、
「明日の予習は一区切りできました。明日は元気に誠実に最後の議長をつとめます!」
とメールをいただいていた。最後の議長、どんな思いで朝を迎えられたのだろう。
とにかく、がんばって!がんばって!とエールを送りながら、
議長の横に座っている、次を担う新社長の様子も見守っていた。

そして、無事総会が終わったあと、議長であった社長は、今日で社長交代をされるという挨拶をされた。
一瞬、会場の空気が止まった、そして会場から「嫌だ!」との一声が出て、それに同調する拍手・・。
もちろんこれからも会長としてこの会社を支える㫖、そして新社長率いるこの会社をよろしくお願いします・・。
と挨拶され、大喝采のまま、緞帳が下りた。

自分に与えられた仕事、使命をしっかり果たし、締めくくる。自然にそれをこなす。もちろん見えないところでの努力は半端ではない。

今回、最高にかっこいいと思った。
そして、その背中を見て、新社長も次の人たちも続いてがんばってほしいと、心から思った。
引き継ぎ、受け継ぐ。両方のトップに心から感謝とエールのブーケを贈る。

株主から大喝采され、応援され 卒業できるなんて、本当に素晴らしい、そして名誉なこと。

私は共感する、尊敬する会社や人を心から応援し、協力する。それが自分の務めであり、生き方だ。
改めてこの会社と出会ったことを幸せに思い、社長との最初の出会いを感謝する。

愚直な人は、最高にかっこいい。
これからも、この会社を愛し続ける。

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