岐阜へ帰った際、名鉄電車に乗った。昔よくピアノのレッスンや高校通学に通っていた懐かしの電車だ。
外は雨がひどくなり、傘を荷物を持って、電車に駆け込む。
中高生の下校時間で思った以上に電車が混んでいる。
通勤時間以外も電車ってこんなに混むんだ~。地方ほどそういう現象がふつうかも。
電車に空いた座席もなく、ま、いい。荷物もあるし、すぐ降りるから・・。ふと目の前に中学生が
座ってゲームをしているのが目に入った。そして、その上に優先席と書いてあるのに気づいたが、
ま、黙っていた。自分が座りたいわけではないので・・。
すると、自分の母親の世代に近い感じのご婦人が近くに乗ってきた。荷物もあり、重そうで・・。
ご婦人は優先席に中学生が座っているのが気になっているご様子。
そして私と目が合い、「困りましたね」といった意味合いの笑い。
私は小さい声で、目の前の中学生に
「ごめん。あのさー、ここ、優先席って書いてあるよ」
と言った。すると中学生たちはゲームの手を止めて、あ、どうしようという表情になった。
立つのか?席を譲るのか?すると、そのご婦人が
「今度から、でいいよ」
といわれた。
その言葉に中学生たちは、そうですか。という感じで席を立って譲ることもなく、そのままゲームを
続けた。
私は正直、とても残念に思い、またご婦人と目が合い、「しょうがないですね」という感じで笑いあった。
ご婦人は私に「お気遣いありがとうございます」と言ってくださったが、
私は内心我慢できずに、電車を降りるとき、その中学生たちに
「こういうときは、すぐに席を変わるもんなんだよ。わかった?」
と小さい声で話しかけ、電車を降りた。
「今度からでいいよ」といわれても、「どうぞ」とすぐ席を立ってくれたら、良かったのにな~。
彼らは、電車の中のこの小さな出来事をどう記憶してくれるだろうか?
いや、記憶さえしないかな?
言葉を額面通りに受け取る。その奥を、裏を読み取る。それはいつ頃からできるようになるのだろう。
最近、スマホのおかげもあり?名ばかりの優先席の存在がますます気になっている。
書いてあっても効果がないなら、書かなくていい。人の良心と、常識で譲り合える、助け合える
世の中がいい。
名ばかり優先席。
カテゴリー: Essay (Word) パーマリンク