京都でのライブは、そのお店で長らくお世話になってきた。
祇園祭りが近づいた頃に、やるのが恒例のような時代もあった。
30名も入れば、熱気むんむんになる、普段は落ち着きのある会員制のバー。
木屋町といえば、京都の飲み屋街として、品のいい老舗揃いの誇りある通り。
今は少し様相が変わっているが・・。
その店のママ。お世話になりはじめたのは、四半世紀ほど前か。
会社員時代、上司に連れていってもらったお店、接待で使うお店。
おこちゃまには一人で行けるようなお店ではなかった。
いわゆる、イチゲンさんお断り!という京都らしいお店だ。
学者、芸術家、医者、経営者・・・。本当に品の良い優雅なおじさまたちが、
ひとりでやってくるお店。一人で来て、そこで会う人と会話する、仲良くなる。
さらには、尼さんもよくおいでになっていた。
最近、京都へ行く回数が減ったこともあり、ご無沙汰していた。
そして、6月末で閉店します・・という知らせが入り、そうか・・。
お礼に行かねば。花束など携え、久しぶりの訪問。
というちょっと気恥ずかしい気持ちを抱きながら、閉店1週間前のお店に伺う・・・。
すると、60余年の老舗バーの閉店間際ということで、満員御礼。
常連さんたちが、もしかしたら毎日来ているのでは?
しばらく来ないうちに、お客様がさらに高齢化したような気がした。
そう、私が通い始めた頃は20年前。そのとき60歳の上司は今や80歳。
このお店のお客様、80歳以上がなんと多いことか。
「これから、どこへ行けばいいんや?どこで飲んだらいいんや?」
笑いながら、ちょっと寂しそうに、ため息交じりに、でも笑いながら・・。それぞれに口にする。
お客さん同志の会話が心にしみる。毎日、毎週いい大人たちが通ってきたこのお店がなくなると、寂しい、困る。
でも、いつか閉店するということも、みなさんそれとなくは、ここ何年か感じてはいただろう。
ママと別れるとき、なぜ店を閉めるのかを耳打ちしてくれた。
「私、もう80歳やで・・・」その年になるまで、毎夜毎夜・・・ひとりでお店を切り盛りし・・。
何度かお店で倒れたときもあった。ここ何年かのうちにも、そんなことがあったと聞く。
もう休んだ方がいい。
京都に名店あり。ほんまに、ほんまに。
京都も、新宿も・・・それぞれに趣き深き、お世話になったお店がどんどん閉まっていく・・。
「これから、どこへいったらいい?」・・・最終日までお店は大賑わいだろう。
京都のライブは当店の思い出とともにある。
赤いバラが好きなママであるが、今回はこの季節の花、アジサイとひまわりを贈る。
京の熱い夏にお世話になった。ママ、ほんま、おおきに。