「もやし」という最強の販促ツール

どこかで用事があると、そこの地元の食品スーパーに寄るのが好きだ。地元野菜やその店の強みを知ったり、売り方の特徴を知るには、NBチェーンのお店を見る以上に勉強になる。その店単独での生き残りをかけた細やかな工夫やまた、残念なところに出会い、改善点を考えるのはいい教材でもある。
さて、日曜の午後、出かけたある都内の食品スーパー。中央線沿線の駅近くにある。品揃えがユニークなため、何度か利用している。電車に乗っての生鮮品運搬は避けたいが、直通であるため、さほど不便さは感じない。
野菜売り場・・うーん、さほど安くない感じ。と思いながら迷っていると、突然「もやし10円」のPOPとかごに入ったもやし群を発見。これまで最安値では19円は知っているし、買ったこともある。もやしは、安さが特徴であるが、しかしなかなかの優れものであると、私が好きな野菜のひとつだ。また子供のときや、学生時代・・お金のなかった時代にお世話になった野菜ということで愛着もある。「10円?」腐りかけ?手にとって商品を見ると、しゃきしゃきしていそうで、新鮮だ。パッケージには「こだわり八百屋のもやし」と書かれている。緑豆使用、種子はさすがに中国産であるが、加工は関東圏だ。どんなもんか?と思いながら、気が付けば2袋掴んで、買い物かごに。そのあと、私の中でその店は、安い店だという思いこみが始まり、ここで買わなくちゃ損損という気持ちになり、さっきまで安くないとか思っていた野菜、そしてその店が強いと評価している魚類も含め、気が付けば買い物かごがいっぱいに。そして5000円近い買い物をしていたのだった。
なんだろうか。この満足感は。結局たくさん買ったのであるが、10円もやしのおかげで、自分は良い買い物をしたんだと思い、しかも地元でもないのにポイントカードをもらったりして、また来るつもりになっている。
ネットで検索するのもバカバカしいが、なぜもやしが安いのかを疑問に思っている人が多いことも知り、「もやし」の経済的な効果、効用について改めて考え、感心した。
その10円もやし・・・大丈夫かな?と思いながら、ナムルにしてみる。ま、何があっても10円だから・・。この安心感もとても不思議だ。そして、やっぱりおいしい。不思議かつ最強の野菜だ。

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