ドナルド・キーンさんが新聞に書かれた母親の思い出が印象に残る。今は日本人として帰化され、日本文学の啓蒙活動をされているキーンさん。日本人としては愛着を抱く偉人のひとりだと思うが、そのキーンさんを生み育てられたお母さまには後悔の気持ちが今なお消えないとのこと・・。長く離れて住み、お母さまが病に伏され、親戚の人から早く帰ってと言われていたのに自身の旅を優先した。戻ったときにはもう自分のことが分からない状態で、そしてすぐに亡くなったとのこと。あと1日早く、帰っていたら・・最後の会話もできたのかもしれない・・と今も後悔されているとのこと。
私自身も自分の中に小さな後悔はある。それは何年経っても思い出すたびに「申し訳なかったな」と思うこと。思い出すと恥ずかしいような気持にもなる。ただ、救いは両親がまだ元気でいてくれること。だからそのときの申し訳なかったという気持ちを打ち消すためにも、一生懸命今できることをやろうと思っている。相手に喜ばれる経験が多ければ、その悔いも相殺できるかもしれない。もちろん思い出は消せないから苦い経験として自分の中には刻まれたままであるけれど。相手がいるうちに、元気なうちに償う気持ちも含め、善行を重ねることで、人生自体に悔いを残さないように行動したい。と、今は思っている。
年を重ねると、母の日は「ごめんね」が混じった「ありがとう」を告げる日になっていくのかな。
いずれにしても、相手がいるうちに。悔いが残らぬように・・