昨日のブログに書いた、宿泊先での歌謡ショーの話。同じホテルに2泊するということで、ショーも2回見ることができる。ショーの存在は行ってから知ったのであるが、かなり私にとってはインパクトある経験であった。そのショーを見た翌朝も、前夜の歌手が気になっていた。こういったホテルには連泊するお客はいるのだろうか?ショーは今日もある?同じステージ?歌手は、同じ衣装を着る?着ないよな?同じだったらダメだな。曲は?同じ曲を歌う?連泊する客がいたら、それもいけないな~。と、とにかくステージに立つ歌手のことが気になって仕方ない。
と、そんなことを思いながら晴天の平戸での滞在。1月後半、雪の日に約束を果たせなかった生月島の資料館などに顔を出し、半年ぶりの平戸での交流、再会を現地の人とともに喜ぶ。ザビエルさんのおかげで、この生月、平戸との縁ができたのだと思うと今でも不思議で感動が消えない。今回泊まっているホテルは平戸城や平戸大橋が見える田平という地区にあるが、そこにはナポリから宣教になってきた神父が殉教した史跡もあり、巡礼の旅人もいることも知る。
今回、宿泊しているホテルはその史跡公園の真上に位置する。
夕方近くになり、その宿に戻る。すると駐車場で元気なおばちゃんが、「いらっしゃいませ。お泊りですか~」と声をかけ、誘導してくれる。他のホテルスタッフと比べてちょっと派手な感じな人だ。朝もお見送りのときにロビーにいてお客さんに話しかけていた。実は前回来たときもその派手で元気なおばちゃんの存在が気になっていた。
そこで私が相方に「あの人、ここの社長かな。何もんやろ」と声かけてみると「あの人、昨日の歌手だよ」と一言。へえ???驚き桃の木。昨日の赤いドレスの歌手が、このおばちゃんと同一人物?信じられず、思わずそのおばちゃんに声をかけた。「あのー、もしかして、昨日夜ステージされていたら歌手の方ですか?」すると、少し笑いながら「あらあ。お客様連泊?そうです。私があの歌手です」といわれ、びっくり!なんとまあ、歌手をしながら朝と夕方は送迎係も担当されているのだ。「私、ここの女将さんかと思っていたんですよ」「いやー、何でもやらねば生きていけません。」そこから、その歌手であり送迎係の方との交流が一気にすすんだ。
私はその後、彼女の2回目のステージを再びしっかり拝見、拝聴。同じ歌手のステージを続けてみることはなかなかできない経験だ。彼女は昨日とまったく違うブルーのドレスに身を包み、送迎のときは眼鏡をかけておられたが、ステージではコンタクトだ。とにかく別人!こんなに人間は昼と夜の顔を作り分ける?使い分けることができるのだと感心もした。
そして歌う曲もすべて昨日と違う。もしかしたら連泊している客がいるとわかったのでという変更もあったかもしれないが、とにかくその日のお客に合わせて、全身全霊を込めて短い時間のステージを務められた。
ステージ終了後、また客席におりてお客さんに声をかける。昨日の客と今日の客は違うということを毎日感じ、もまれながら生きてこられている苦労がなぜか透けて見えて、そのふるまいに感動してしまう。彼女が私の席にやってきたときには、もうお友達感覚だ。そして名刺も交換し、これからも!という話になる。
地方に行く、いろんな場面に出向き、感動を、元気を与える人の仕事ぶりを見せていただくことで、自分のこれからの道をどう進むのかが見えてくる。
いろんな生き方があるよ。兼業歌手。みんなそうだ。それだけで生きている人はほんの一握り。「私ももう何度もやめようと思ったのですが、こういう出会いがあるので、やめられんのですわ~」と、その言葉が心に強く残る。
わかる気がする。しんどいけど、つらいけど、でもやろう!と思える仕事なのだろう。
大分から平戸へ期間限定で巡業へ出られている。ステージでは、年下かなと思ったが本当は年上の方だった。若輩者の私は、まだまだやらねばならない!
巡礼の地で巡業。一日に何役もしながらがんばっておられる演歌歌手に心からエールを送りたい。また新たな縁ができた。これもザビエルさんのおかげ。