たまには、ユーミンのように。

夜仕事をしながら、テレビをBGM変わりに流しておく。チャンネルを廻していくと、思わず手が止まる番組を発見。演歌の番組だ。しかも、あの三善英史が出ている。中学生以来のご無沙汰かもしれない。明らかに自分より年上だから、たぶん60代だろうか。わあー、とその変化に驚きながらも、でも面影は30年前と同じであることにも感激する。顔には皺・・人のことは言えぬ。それよりも演歌歌手としての矜持といおうか、スタジオで歌う姿はあの時のまま。さすがにあの「雨に~」の出だしは高音なので、無理しているかなと思いつつも、それでも30年経っても同じ歌を同じように歌える歌唱力に仕事の手を止めた。そして。なぜかあの演歌の世界に強いノスタルジーを感じた。

昔はこういった男女の仲とか、なんともほろ苦い人生劇場が酒場に散らばっていたし、飲み屋のママたちには、このような演歌がぴったり合うような雰囲気があった。京都祇園、新宿は歌舞伎町・・・私にとって20代から30代にかけての酒場修行は人生道場そのものだった。そして、演歌が生きていた時代だ。

ああ、あのころが懐かしい。きっとそんな日陰の存在とか、女の存在も女性の進出とともに消滅したり、情報化社会のおかげかみんなうまくやるようになり、そんな情緒もなくなったのかもしれない。影で泣いている女も男性社会が作ったイメージだろうから。でもそれでもなぜか、その時代を思い出すと胸が熱くなる。

ああ、あのころはやっぱりなんとも情緒があったな~。色があった、においがあった。

と、三善英史の歌を聞いて思った次第。ああ。あの頃に戻りたい。酒におぼれて、つぶれて・・恨み節、呑ん兵衛男の無責任さ・・、なんだか盛り場が面白かった。みんな、飲み屋でカラオケを歌い、憂さを晴らしていた・・。今はそんな場面は少なくなっている。

演歌・・・大人になって聴き直すと、やっぱりいい。ああ、あの頃にかえってみたい。

歌舞伎町のスナックやそこのママや、今は亡くなったお客さんたちのことを思いだし、

演歌もいいな。久しぶりに歌いたくなった。三善英史さん、どうぞ長くご活躍を!

あの頃に帰りたくても帰れない、わが青春時代。ユーミンの歌のようだ。

すっかり、やっぱり昭和人だ。

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