ライブや公演の作り方を勉強するため見慣れないミュージカルも観に行く。看板と劇場に集まっている観客の客層だけで品定めをすることもある。好きな作品は何度も観続けているが、ときにはまったくの未体験ゾーンに身を置くことも大切だ。今回は、語りが多いコメディだ。
トニー賞受賞とあるので、作品としては申し分ないだろう。開演してからすぐにお客の反応でこの作品の前評判がわかる。ちょっとしたアクターたちの言葉や表情で爆笑の渦になったり、拍手があちこちで起こればノリはOKだ。ところで、語りの多いミュージカルはちょっと苦手な部分もある。言葉が聞き取りづらく、何を言っているかよくわからないことも多い。聞き取れた単語と前後の動きでストーリーを自分なりにつないでいく。それでもわからないことも多い。隣の男性は英語圏の方だ。言葉尻で笑ったりしている。私はそこは沈黙だ。むしろ、アクターが狙って何かをしようとしている表情や呼吸を察知し、大声で笑う。だから、お隣の方と私は違う場所で笑い合っている。いいじゃない、それぞれ面白いのだから・・。そこで思う。人は会話、言葉自体でまず内容を理解し、その表情や抑揚、視覚的な演出、そして音楽で心動かされる。言葉がわかる人は前者をまず楽しむだろう。私が海外で体験するのは多くは後者だ。それでもおおいに笑い、泣く。さて、これを自分の公演やライブに置き換える。言葉の面白さはMC。日本で行う場合それはまずまず、努力と準備次第でできないことはない。そしてさらに感動を与える要素の工夫、磨き。
今回観た作品からも、きめ細やかな演出、心にくい面白さを多く学んだ。
人はそれぞれ笑いところで笑い、泣きたいところで泣けばよい。それを楽しむために時間をお金を費やし、来てくださるのだ。コメディは人生の苦労をふきとばず瞬間的な清涼剤だ。よし、もっと今年は・・・。ここに来るとやっぱり新しいネタが湧いてくる。
それにしても、隣の男性は、「なんぜこいつはここで笑っているんだ?不気味な奴だ」と思っていたことだろう・・・。
「笑うところが違う」のが、いい。
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