千代田区の図書館にて、昭和の作家たちを撮影し続けた林忠彦氏の作品展を開催していることを知り、たずねる。日比谷公園の連休中のイベントの喧噪とは別世界の静かな小世界。あの太宰治の有名な写真や新潟でおなじみの坂口安吾の執筆中の写真など見覚えのある写真が100余点。故人が多いが存命の方もおられ、現役で活躍されている五木寛之氏の若き日の写真もあり、うれしくなる。写真ひとつひとつがその作家の内面を表現している。厳しさ、鋭さ、孤独、深さ・・・。ペンで生きてきた人たちの顔はなかなか趣深い。作品のタイトルは知っていたが、こういう顔の作家なんだ。あるいは学生時代に読んだ石川辰三や伊藤整、三島由紀夫・・・。作家の写真とその解説をみるにつれ、自分の青春も蘇り、そしてまた読みたいという気持ちになってくる。昭和という時代は、こんなに多くの文豪を世に送り出した。なんともいえないその作家にしか出せない味、表情をきちんととらえた林氏の写真も、昭和ならではの作品だ。
いずれも永遠に後世に語り継ぐべきもの。魅力的といわれる顔になるよう、いい仕事をしなければ・・。
作家の顔は魅力的
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