ミニカップ麺でシスターとのランチは、大きな宝。

さきの投稿で書いた長崎市の西端。外海。世界遺産登録がうまくいけばかなりの観光客が増えることが見込まれた。現在は、一度申請を取り下げたということになっているが、それでも観光客はさほど減っていないとのこと。修学旅行(とくにミッション系の学校)には最良のコースであろう。その中の旧出津救助院。ド・ロ神父が女性の自立を教えた住み込みの学び舎が復元されている。その功績には今でも学ぶべき点が多く、産業、歴史、文化史の良い教材だ。そこで働くシスターとわずかな時間を過ごす。立ち話ではということで、受付の椅子に一緒に腰かけ、来館者に挨拶をしながら、シスターといろいろ話をする。あまりにも普段の東京生活での会話とは違う内容で、聞き漏らしてはいけないと一生懸命聞いているうちに、お昼の時間になる。もう一人のシスターが、「お昼、どうされます?よかったら私たちも食べますから、一緒にカップ麺いかがです?」と声をかけてくださる。シスターは毎日(でもないかもしれないが)ランチにはカップ麺を召し上がっているのだ。意外だな~。と思い、この静かな祈りの地でのランチをご一緒させていただく。昔の作業所に設けられた座敷、ドロ神父の肖像画が飾ってある。そこに上がらせていただく。好きなものを選んで・・・と言われ、箱に入ったカップ麺たちを見る。いろんな銘柄があるが、いずれも通常の大きさではなく、ミニサイズだ。小腹満たしとか機内食でよくつかわれるサイズ。へえ、外海に来て、シスターとカップ麺か。なんだか楽しくなってシーフード味を選ばせていただき、お湯を注ぐ。コンビニでカップ麺を買う時、こんなにワクワクするだろうか。するともう一人のシスターがご自分のお弁当箱と八朔をもってこられた。ご自身は宿舎で用意される食べ物を詰めての、お弁当持参のようだ。「私は、カップ麺では足りないのでね」といわれ、向かい合ってそれぞれの食事をいただくことにした。ド・ロ神父は日本ではじめてパスタを作った方だから、もし現在も生きておられたらカップ麺にも興味がおありだっただろうかといろいろ想像して、とにかく美味しくいただいた。そのあと、シスターが皮をむきやすくしてくださった八朔をいただく。シンプルな食事がなんだかうれしく、ほどよくおなかも満たされ・・。かけがえのないランチ。何を食べたかはとても大切であるが、誰とどんな風にというのももっと大切だ。ド。ロ神父の肖像画が見守る部屋で、シスターといただくお昼。食べる前にもちろん祈りを捧げるシスターを見て、毎日神様とともに生きておられる姿を清らかだと思った。我が生涯で、思い出に残る、「そとめのランチ」に感謝。

 

 

 

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