自分の課題に立ち向かおう

ノーベル文学賞を受賞したフランスの作家パトリック・モディアーノ氏の受賞後のインタビューを聴いていて、なんと謙虚で思慮深く、寛大な人なのだろうとまだ作品を読んだことがないのに、その地味な人柄の印象に思わず引き込まれる。
受賞したことを「信じられない、本当に現実か?と思った」と素朴に語り、「受賞してこれで終わりなのではなく、これからも書きつづけるのだから、その生みの苦しみは変わらない」という。受賞とは自分への励ましなのだという。書く仕事とは自分と向かい合う孤独な仕事。それ自体は変わらない・・・。作家とはそういう仕事なんだ。しかし、自分と向かい合うということではどんな仕事も同様だ。「自分が長年書きつづけてきたことが、気が付いたら人々に影響を与えていた・・・。」というこの言葉からは、この人は売ろう、売れたいと思って書いてきているのではなく、ひたすら自分の使命に基づき、内面から湧き出る力を文字にしてきたのだろう。余計なことを考えず、ひたむきに、ひたすらに。自分の課題と向き合うこと。そこには他者の目は関係ない。学ぶことの多い、素敵なインタビューであった。

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