わが子が誇り。と思ってもらえるように・・。

ここのところの報道で心痛む事件のひとつ。元超有名野球選手の逮捕。このことに関するニュースが流れるたびに1枚の写真が頭をよぎる。
20年以上前のこと。当時会社員だった私は、小学生向けの情報誌を企画編集しており、いろんな著名スポーツマンの実家や彼らが育ったスポーツ教室などを取材していた。
体操選手、水泳選手のお母様や先生にお会いし、その選手の子供の頃のお話しなどをお聞きしていた。中には現在は現役の選手を卒業し、業界の発展のために尽力されている方もおられる。
その選手本人ではなく、親御さんや先生に会ってきたという点が面白い仕事でもあった。
そして、その超有名野球選手のこと。今回のことで思い出した。大阪は岸和田にあるご実家をたずね、お母様にお話しを伺ったことがあったのだ。その当時、京都の会社から岸和田まで、電車を乗り継いで出かけていった。緊張して出向いた先は、確か電気屋さんだったと思う。
お仕事の合間を縫って、お母様に子育てのこと、息子さんの野球に対する情熱、奮闘ぶり・・・そんな話を聞いたのだと思う。そして最後に、お母様とのツーショット。ひとりで取材に行ったはずなので、誰がそれを撮影してくれたかは定かではない。その選手のお母様と自分との記念写真。偉い人の実家に伺い、お母さんに会って取材してきたよ・・ということが、そんな仕事がうれしく、その1枚の写真をフレームに入れて、実家の応接間の飾り棚に置いた。あれから20年ほど経つが、実家に帰り、その棚を見ては、ああこんなこともあったなと懐かしく思っていた。
あの当時、お母様は息子のことを誇りに思い、取材にも応じてくださったはずだ。
有名になることは成功かもしれないが、もし、間違いを犯すとその影響は計り知れない。
なぜか、あの報道を見聞きするたびに、あのお母様のことを思い出してしまうのだ。
そんなに有名にならなくていいから、お金儲けが上手でなくていいから、地道に生きて、小さくても子供が、家族が誇りと思ってくれる存在で一生いる方が幸せだ。
自分とはまったく別世界の話かもしれないが、実家に置いてある1枚の写真を思い出し、母親の気持ちについて、あれこれ考えてしまう。何事も他人事ではない、と。

カテゴリー: Essay (Word) パーマリンク