独創的なコラージュアーチストに学ぶ

そのアーチストの方とは20年以上の知り合いだ。ただし、会う回数は多くない。今回も10年ぶりぐらい。その方の作品を展示する機会があると聞き、そのグループ展まで足を運んでみる。そのタイトルは「ミロと黒いマリア像」。ダリやミロといったスペインの画家が好きだとのこと。またご自身が見た風景や素材を自分なりの独創的な想像で具現化する。写実する力とは違う、イマジネーションが不可欠な作品づくりに意欲的だ。
スペインにはまだ行ったことがないが、かのザビエル(スぺインではハピエル)の生誕地がここであるし、いずれは行かねばとは常々思っている。
この1枚を見て、フランスやポルトガルとも違う、独特な世界観を感じた。

この作品を生み出した渡辺さんは、絵の解説をしながら、実は人生観を語ってくれている。100歳をめざし創作活動を続けた先人たちに倣いたいとの意思の強い現れ。
とくにスペイン的な美しいブルーの背景色に、いい色だとそのセンスを尊敬する。
この作品を描いたあと、実際この素材があるスペインに行き、作品を検証したいとのこと。この渡辺さんは御年82歳だ。衰えることがない制作意欲自身が刺激になる。
それから久しぶりに2時間以上、画廊の近くのカフェで芸術や人生について語る。そして会社員時代に書かれた小説についても話を聞く。
書きたいストーリーに沿って素材をかなり集めまくられたことが印象的だった。
20年前にはその面白さがわからなかったが、今となれば、二足のわらじをはきながら生きておられた渡辺さんに親近感がわいてくる。
会社員をしながら、創作活動を続けておられたことが、今の充実時間につながっている。
また、売ろうとして描くのではなく、好きなものを描くのが幸せだとのこと。
芸術を仕事にすることの難しさも今は理解できる。
マカオで見聞したさまざまな現象についても意見交換をする。
中国人がいろんなものを勝手に模倣することと、いろんな素材をコラージュしながら独自の世界を創ることの違いについても語る。
ただ疑似的な世界を作ってあっと言わせたいのか、オリジナルの世界を創ろうとするのか・・。技術と芸術の差、ホンモノ、オリジナルへのこだわり・・などなど話題は尽きない。
今回話をしていて、アーチストの仕事とは、自らの手法、表現方法を通じて、結局「何を伝えたいか」が、きわめて大切なのだと改めて思った。
メッセージを発信する仕事。作品を観て人は精神世界での自由を得、幸せを得る。
やっぱりアーチストという仕事、生き方は面白い。

100歳まで作品づくりを続けるとのこと。彼の手相学?によると、私も長生き派だそう・・だから、先輩の生き方を見習いて、生涯アーチストの道を冒険するとしよう。
絵でもいい、文字でもいい、音でもいい。精神世界に訴える仕事は、人間に与えられた尊い仕事だ。次の渡辺さんの作品がまた楽しみになる。
渡邊さん1

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