夢の町に潜む、わがドリーム。

アジアのラスベガスとして活況を呈するマカオは、ポルトガル領土からの返還後、さらにカジノビジネスを加速、島と島を埋立地でつないでしまうという、信じられないことをやり、そこにどんどん巨大ビル群を作り続け、大陸から多くの観光客を招き入れている。
私が愛する、ポルトガル文化の名残を残すマカオの一面とはあまりに対照的で、ここに来るたびに世界史を一度に垣間見たような不思議な感覚になり、それ自体はとても興味深い一方、いつも考えさせられる。
偽物を創ることは何のためらいもないのか、ないだろう。どこかの国の何かを模した巨大建造物がいくたびに増えており、今回はエッフェル塔もどきを創っており、驚く。
何のためにここにそれをただ、創るのだろう。平和を祈念してとか、交流のためとかではなく、
目立つため、理由は何であれ凄い!と思わせるために、作り続けている。作れば作るほど、現実の町、世界とは遠ざかっていく不思議な空間だ。

このカジノ街の中のあるテリトリーには大きな看板に「CITY OF DREAMS」と書いてある。そのカジノタウンのニックネーム。夢の町。夢が複数形だから、いろんな夢が叶う街と言いたいのだろう。
一攫千金を狙ってやってくる人にとって、確かに、ここは夢の町だ。そして、勝てば一夜にして大金持ち、まさに夢の実現か。
20年ほど前、香港によく出張していた際に、知り合いの社長がかつては、週末になると毎週香港から、マカオまで飛行機で飛び、カジノ三昧、儲けていい思いをし、やがて負けて借金を負ったという話を聞いたことを思い出した。昔はこうだったんですよ~と武勇伝のように語っておられたのがやけに印象に残っている。(その方は最後には清貧の暮らしを求め、英国のシェイクスピアの故郷の近くの街に移り住んだ・・・ということを今なぜか思い出した)

カジノは個人的には別世界だ。夢とはそういうこと?お金持ちになること?とやはり思えてならない。もちろんそのプロセスを楽しむ娯楽としては悪くはないだろうが。とにかく人間の禁欲がはじけるこの空間は非日常すぎる。
夢とは、お金を稼いで豪華な生活をすること?
とにかく、夢を求めてここに中国から人々が集まってくる。
そのパワーは銀座で爆買いをする人たちとはまた違う質を感じてしまう。
(本テーマは次に続きます)
マカオエッフェルmakao1

カテゴリー: Essay (Word) パーマリンク