最終の新幹線で東京へ戻ってくる日は、自宅の最寄り駅に着く地下鉄も最終電車かその手前。日付変更後の帰宅となる。わが最寄の駅は利用者は少なくないのに、エレベーターもエスカレータもなく、階段だけのちょっとトホホ駅。そのため出張時は気合が必要。階段を降りるときも、上るときも、必ず心の中で「よし!」とか「よいしょ!」と声をだし、重いキャリーバッグを一気に持ちあげ階段を昇降。今回も日付が変わった時間に最寄駅に着き、改札を出て、深呼吸。よし今日最後の仕事だ。がんばって上がるぞー。と階段から地上を見上げていたら、「Are You OK?」と心配そうに声をかけてくる人がいる。背の高い西洋人男子だ。へ?そんなこと言われたのは初めてだ。手伝ってあげる!というのだ。そんな、そんな~。この半端じゃない重い鞄を見知らぬ人に持ってもらうなんて・・・。そんな経験は日本では東京では・・・記憶にない。
「No Thank you, no problem」といってキャリーバッグを持ちあげようとしたら、その男性が観ていられない・・といった感じで私のバッグを手にとり、階段を上がり始めた。あらー、どうしよう、知らない人に・・・。するとその男性は鞄のあまりの重さにびっくり。「Wow,Very Very heavy. What is inside this? 超重い、何これ?」急に日本語も混じる。そう、思った以上に重かったようだ。ちょっと後悔したのかもしれない。そう着替えとかそういった軽いものではなく、パソコンや書類が入っているのと、仕事途中に購入した新潟野菜も入っているので、それなりの重量なのだ。その彼は驚きながら、ひーひーいいながらそのまま持ち階段を駆け上がる。一緒に私もついていく。
階段を上りきったところで「はい、おやすみ~」とバッグを地面に置く。はあ、疲れた!という感じであった・・。
わずか1分半ぐらいの出来事だった。それなのに1日の疲れがすべて癒されるほどのビックアクシデント。
さすがジェントルマンとは、まさに字のごとく。
外国人の生活者も増えているこの近隣、また似たような顔つきの人も多いので、同じシチュエーションにならなければ思い出せないかもしれないが、きっと会えるだろう。でも、こんな重い荷物をもつ女には彼は二度と声をかけてこない気もする。
家に帰り、翌朝このプチエピソードを話す。「人の荷物持ってあげたことある?」「時々あるよ」よーし、ジェントルマン魂があるようで、ひと安心。
疲れ吹っ飛ぶ、ジェントルマン登場!
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