「一体感」が感動を生み出す

ミュージカル、ダンスショー、コンサート、ジャズライブ・・・いろんなステージがあるが、演劇もおそらくそうだろう。
観客を前に、何かしらの芸を披露する仕事は、観客に感動を与えるものでなければならないと思う。
学生時代に読んだ芸術論の本で、「芸術というのは(とくに音楽であれば)、観客がいて初めて成立、作品になる」といったようなことが書いてあり、しみじみ共感したのを思い出す。「私は勝手に弾いています、歌っています・・・では、感動はしてもらえない。
観客の心を開いていくようなプロセスがあり、観客の心がいつの間にか、演者の方に歩み寄ってくる・・・そんな感じであろうか。
とにかく、縁者と観客の関係により素晴らしい演奏が生まれるのだ。そのことは、自分の経験でも身に染みている。
直接目に見えなくても聴いて泣いている方、気持ちよく聴いている方、手拍子をいただける方・・・いろんな反応の空気が伝わり、演奏はさらに盛り上がるのだろう。
とくにNYでのステージはそれが明快だ。観客を乗せるためのパフォーマンスが優れているというか、時々過剰であることもあるが、エンターテイメントとアートが共存する時空間をうまく創っている。
私は、今回決して若くない女優が全体力を使って舞台を飛び回り、歌い続けているその姿に涙した。見ているいちに、その人と一体になっていたのかもしれない。
そう演者と観客が一体となったときに、舞台は最高潮になるのだろう。もちろんそのための努力は惜しんではいけない。
さまざまな作品を見ながら、自分なりのステージづくりを検証していくのはとても刺激的だ。

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