仰げば尊しの春。

3月になり、町が急に動き出した。
そんなことを感じる3月1日であった。
引っ越しのトラックもちらほら、花をもって歩く若者の姿・・・。

岐阜から名古屋へ戻る途中の駅。電車の乗り継ぎ待ちをしている
ホームで、見覚えのあるセーラー服を着ている女子高校生二人の
姿をみつけた。
とっても楽しそうに笑いながら、話している。
なつかしさのあまり、
「加納高校?」
と聞いてしまった。すると、その二人は元気に
「はい、そうです。」と答えてくれたので
「あ、後輩だね。」
と言ったら、表情がさらに柔らかくなって
「へえ。そうなんですね~」
「スカートの丈は私たちのときと違うけど、
制服見て懐かしくなったわ。昔はもっと長かったよ」
と言ったら、高校生たちは驚き、笑っていた。
「へえ、そうなんですね~」
そう、今どきの制服のスカートはミニ丈である。
そんな会話で、
一気に打ち解けた。高校生と話すのは久しぶりかもしれない。
「今日は何?」
と聞いたら、
「卒業式でした!」
「あ、今日なんだ。それはおめでとう!!」
「ありがとうございます!」
そこから、少し会話を続けた。
ひとりはもう進路も決まり、もうひとりは滑り止め(この言葉も
懐かしいが)は合格、本命はこれからということだそう。
「もう少しがんばってね。とにかく卒業おめでとう!」
気持よく分かれ、彼女たちの楽しそうな会話はその後も
続いた。

大好きな制服だったから、今も町でみつけると、嬉しくなる。

彼女らと別れた後、自分の高校の卒業のときのことを思い出した。
うーん。進路は決まっていなかったから、そんなにハッピーじゃなかった
ような。だからくっきりした思い出はない。
それよりも、わが高校時代は思い出が多すぎて、そのことを想い出したら
胸がいっぱいに。セーラー服時代の自分が次々登場してきた。
ピアノもバイトも、遊びもそれなりにやった時代。

あれから、半世紀近い。
セーラー服で自転車で通っていたあの頃。
音楽やっていたことが誇りだった時代。
そして揺れはじめていた時代。音楽?それ以外?

あおげば尊し。これは明治時代から歌い継がれている
アメリカ生まれの唱歌であるが、永遠の名曲だと思う。
この曲が出てくると、すがすがしい気持になる。

3月。
いろんな節目がある。卒業。いい言葉だ。
すべての卒業生へ、おめでとう。
これからはじまる新たな道への準備をする3月。

分かれていく友達との時間を、
分かれていく家族との時間を
心ゆくまで楽しんでほしい。
そして、家族の応援、親の苦労に感謝を忘れずに。


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