成人の日への思い。

わが人生、数々の親不孝はあれど、そのなかのひとつは、成人式。
18歳でふるさとから京都へ脱出した自分は、ひとり暮らしは
それまでの生活とは別世界。
親との関係は良好とはいえず、今から思えば、苦い時代。
自分がまいた種ではあるが、
実家に置き去りにしてきたピアノを思えば、後ろ髪がひかれたが、
それでも意地を張ってバイトに、音楽なしの学生生活を送っていた。
「成人式は」
「忙しいし、帰らへんわ」
親は、知らないうちに振袖を用意していたが、当時、親が調達して
くれたその色柄も好きではなく、着たくなかった。
・・・・・その後、その着物は妹に受け継がれたか・・・。今は
もう記憶がないが、とにかく、帰らなかった成人式。
「成人になったら、運転免許をとらないと」
「そんなの、要らん」
と、とにかく、成人になったら〇〇と決めつけられるのも、
自由な暮らしをはじめた自分には、不自由な田舎の決まり事に
縛られるようで嫌だったのだろう。

当時の親の気持ちは、考える余裕もなかった。
今から思えば、自分なりの反発パワーを炸裂させようとしていた
のかもしれない。
自立して生きることが優先であったから・・・・。

と、40年前の今ごろを思い出す。
京都も岐阜も、寒い日。なぜか、雪がちらつく風景が浮かぶ。

昨日、行きつけの美容室に寄ってみると、皆さん成人式の準備で
忙しくされていた。予約されているお客さんが親子で着物を
お持ちになり、事前の打ち合わせ・・・。美容室の中に、着付の
スペースをつくり、着物の置き場所を確保。
普段と違うお店になる。
少子化の影響もあって、大切な娘のハレの日のお母さんの
はりきりぶりは凄いそうだ。
着付けとヘアメイクを限られた時間でこなさねばならず、
またお気に召さないとトラブルになることもあるようで、
一年で一番緊張するイベントだとのこと。
それはそれは大変だろう。
「がんばってね。無事に終わるよう応援してるわ」
とエールを送る。

明日、岐阜では成人の日イベントが行われる。
着付とヘアメイクを完了した新成人の皆さんの集いに
私も参加させていただく。
ご本人はもちろん、親御さんたちの思いが詰まった特別な
日。

自分の親不孝を詫び、そして感謝を込めて
新成人の皆さんにとって、素敵なひとときになるように
とにかく無事に公演を終えたいと思う。

雪は祝福のしるし。

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