年末お会いした方から、
「今年の一文字は決まりましたか?」
と聞かれ、
「まだです。まだ考え中です」
と答え、あれから1週間。
今年1年を自分なりに振り返り、もっとも共感し、もっとも
そうありたいと思い、目指したことを象徴する一文字
を考え続けた。
その結果、
今年の一文字は「魂」。
これにした理由は、まずは、フジコヘミングさんの生前のインタビューを
聴いて、「あ、これだ!そうそう、これしかない」と思ったことが、挙げ
られる。
「機械みたいに弾いていたら、コンクールでは1番になれるかもしれない
けど、それじゃないんだよね。演奏は『魂』なんだから」
この一言に、どんなに助けられたか、救われたか。強く深く頷く自分がいた。
ずっとそう思いつつも、そう言ってはいけない、ある意味、負け惜しみになる
と思ってきた言葉でもある。
もちろん突き抜けた生涯を生きたフジコさんの言葉であるからこそ、
説得力がある。
私には大した学問も、卓越した技術もない。
ただ、幸運にここまで、生きてきた。
どうして、がんばってこられたのか、
それは何であったかといえば、自分らしく生きるというこだわり。
ブレないという信念、発想と行動、挑戦。
そして、こと音楽については、あらゆる情感の表現。
生きる人間の心の動きを、自分の経験と想像から描きだす。
そして、自分は生きているということを、表現する。
心の奥にある芯のようなもの。
魂はそんな風にも例えられるだろうか。
それがあるかないかでは、伝わり方が違うのだ。
フジコさんのピアノは、とてつもなく悲しく、優しく、美しく。
彼女はこういう人なんだということが透けて見えてくる。
技術だけの、試験やコンクール狙いの表現をしているだけでは
その人自身は見えてこない。
「魂」とは、その人自身。その人の存在の証し。
それを大切に、意識して、生きること。
この意義を感じる、有意義な1年であった。
だから、2024年の私の一文字は「魂」。
明日からも、これを意識し続けて、生きていきたい。
フジコさんはじめ、偉大なるアーチストが遺されたメッセージを
自分たちなりに受けとめ、人に感動を伝える仕事をすること。
最後に、
今年も多くの出会い、学び、気づき、感動を
心からありがとうございました。
1年間、お世話になった皆さま、大変ありがとうございました。
2024年最終日を、最高に有意義に過ごし、1年を結びたいと
思う。
今年の一文字は「魂」
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