ジュリエットへの愛に、想い馳せ。

今年もいろんな方が旅立っていかれた。
有名、無名・・いろいろあれど、身近であればあるほど、その悲しみは
長く、そして広く影響を与えた人であれば、多くの人が悲しむ。

オリビア・ハッセーもそのひとり。
昭和世代にとっては、「ロミオとジュリエット」の映画でのあのジュリエット役
が懐かしい。
シェークスピアが書いたあの物語が美しい悲恋物語として映像化され、子ども
ながらに、これは実話なのかと涙したあの時代。
そして、何より、布施明との出会い・・。その当時大変話題になったことも
懐かしい。日本が高度経済成長に向けて湧いている時代。

そして、偶然にもそんなことはすっかり忘れて、最近、布施明の歌唱力に改めて
注目し、70代後半になっても衰えぬ歌声を心から尊敬し、目指したいと
思っていた。

オリビアはブエノスアイレス出身であったこと、お父さんは有名なタンゴ歌手という
ことも知り、驚き、いろんな想像も膨らむ。

オリビアの訃報を知ったせいか、さらに布施明の昔の歌が聞きたくなり
久しぶりにベストアルバムを聴く。
つややかな伸びる声は、華やかである一方、心込めれたバラードには、より
心動かされ、その情景がくっきり浮かぶ。
丁寧に歌っておられるからだろう、歌詞のひとつひとつが場面になる。

そのなかで「カルチェラタンの雪」という曲を何度も何度も聴く。
きっとオリビアもこの曲、好きだったのでは?と勝手に妄想する。
パリの石畳をあるく男女。私の中で、この歌の登場人物がいつのまにか
オリビアになっている。

布施明はいつも誰かを思い浮かべて歌っているのかなと思うほど
に、心を現るアーチスト。
具体的に誰かを思えば思うほどに、思いが込められるはずだから。
この時代の歌を聴くと、オリビアのことを思い浮かべていたのかも
しれない。

と、事実はどうか知れないけれど、
改めて俳優、歌手という仕事は、人々に自由な発想や想像を与える
想像的な仕事。
人に感動を与える仕事。

70代での死は早いと言われる今日。
そう70代は、まだまだ壮年。

夢を見させてくれたオリビアに哀悼を込めて、
あの時代をいつくしみながら、

今、布施さんはどんな思いで、歌を聴衆に届けるのだろう。
と・・・。

歌で、愛する人への思いを綴ってほしい。

人生は、ドラマだ。そして、歌は人生だ。

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