これは何?
と思われる方もおられることだろう。
こちらは、あるサロンの天井。お客さんが施術を受ける際に仰向けになると、
その空が見えるというもの。
天井に描かれた空。照明の関係で薄暗い部屋であるため、少し曇り空に見えるかも
しれないが水色の空と白い雲が描かれている。
仰向けになると、ああ・・・と疲れが吹っ飛び、自分だけの世界に浸る瞬間。
それを30代の頃から、何度も体験させていただいた。もう回数は数えられない。
26年前の9月に誕生した、新宿にあるお店。
私が脱サラして、グラン・ルーを立ち上げた時と同じ時に、開店したお店
ということもあり、特別な思いと親しみともって、利用させていただいてきた。
いろんなスタッフに出会い、会話もした。時に意見もした。こうした方が
お客さんが喜ぶ、と何度も伝えたことも今は懐かしい。
このお店との出会いをきっかけに、自分も世界を広げることができ、見られること
を意識し、ちゃんとしなくてはという思いも芽生え、意識するようになった。
コロナ禍。このあたりから状況が変わる。
こういった業態は飲食店と同じく、大変厳しい状態で、
何年も足を運ぶこともできず、でも、大丈夫かな・・と経営のことも気になって
いた。
そして、コロナも落ち着き、営業も平常どおりに戻った。
新宿にも以前以上に賑わいが戻った。
新宿に住んでいた頃と違い、名古屋から通うことは難しくなったが、
それでもスタッフたちのことも気になって、細い糸ではありながらも、
関係は続いた。
このサロンは、このクリスマスで26年の歴史を閉じることになった。
開店時から勤続されているスタッフたち。このコロナ禍を過ごしてきた
人たち。そして、四半世紀以上、この空を仰いできたお客さんは、
どんな気持ちだろう。と報せを受けてからずっと気になっていた。
グラン・ルーの歴史とともに、永遠に続いてほしい。ずっとある!と
勝手に念じていた、この空を仰ぐ時間との別れ。
最後の挨拶に店を訪ね、懐かしい人、最近出会った人たちとしばしふれあう。
営業最終日まで、毎日訪れるお客様に、最後まで最高のサービスを。
そんなことを願い、
「また会いましょう!」と言葉をかけて、店を出た。
この店の本店はパリにあるが、同じくこの空が天井にあったな・・・。
懐かしい時代が蘇る。
グラン・ルーの歴史にも、刻んでおきたいこのサロンの存在。
新宿のライブのときに、ブーケを届けてくださったり、
いろんな手紙をいただいたり、本当に楽しい交流をいただき、
歴代のスタッフの顔も浮かんでくる。
皆さん、お元気かな・・・。
企業は、お店は生き物である。
はじまりがあれば、終わりもある。
限られた時間のなかで、いくつの幸せを、笑顔をお客様に与えることが
でき、そして働く人にもやりがいをもってもらうことができるか。
この空を思い出しながら、自分の26年も思い出す。
新宿三丁目のこの空に感謝!妹のようなスタッフたちに感謝。
出会いを大切にしたいと、あらためて。
終わりは、次へのはじまりである!