音楽とは民族性に大きく左右されるものだと、子供のころから
思っていた。
ここは、本当はじっくり勉強したい分野でもある。
言語以上に、民族性が現れていると感じるからである。
もともとその土地に根差した音色、あるいは信仰から生まれる
ハーモニー。音を聴けば、その土地や時代,、生きた人々のことが
想像できる・・という興味深い世界。
そして、音楽を聴けば、タイムトリップもでき、その時代に生きた
人に出会った気持ちになれる。そんな不思議な心の体験もできてしまう。
クラシック音楽に触れると、さまざまな国に行けるのが楽しい。
ロシアをはじめとする、スラブ系東欧世界の交響曲では、広陵で厳しい
世界を感じる。そして暗く厳冬の世界を生き抜く寂寥感も味わうことが
でき、どんどん心が沈んでいくのが心地よかったりもする。
ドイツに行けば、哲学的な高揚感を感じ、世界を俯瞰するような気持ち
にもなれる。
一方、フランスの作品はいかにも自由で奔放で、流れる水のごとく、
そんな印象が強い。そう、私のなかでは、フランスのピアノ曲は水と
光を感じる。力より自由・・・。
アメリカにいけば、なんといってもジャズ。
人種を越えた、とくにここでは黒人のパワフルな表現力に圧倒される。
そのルーツの黒人霊歌はアフリカ由来になるが、奴隷世界の悲哀、
人びとの祈りを感じ、厳かな気持ちになる。
そして、愛するアルゼンチンタンゴ。
遥かかなた地球の反対側に棲む移民が生んだこの音楽は、
悲哀と情熱を感じ、目を閉じると、美しいバンドネオンとピアノ
バイオリンの音色に、あのダンサーたちの踊りが蘇る。
と書いているうちに、地球をかなり旅した感じ。
と、アジア以外の世界について記述したが、アジア各国にも
それぞれの民族楽器が奏でる固有の世界がある。
そこに接点を持った人であれば、思い出し、懐かしく思うことだろう。
などなど、音楽にはお国柄がある。
日本の音楽とは何か・・・。
ポルトガルのファドや、フランスのシャンソンのように、演歌が
日本の音楽という印象が強いが、これはこれで素晴らしい芸術だ。
大衆から生まれるもの、神をたたえるもの、権力を感じさせるもの・・・
いろいろあれど、結局は人が生んだもの。人間が創造したもの。
などなど、計画ではNYに出向いていた今週であるが、
心の世界旅行を楽しみながら、日々を過ごす。
お国柄。
いい意味で共存共栄してほしい。