日本は島国だ。
そこに育った。だから国境はどこ?と言われても、実は正式には
わかっていない人が多いかも。自分も詳細を把握していない。
もちろん地図を見ればわかる。
国には領土、領海、領空。というものがちゃんと存在しており、国は
自国の領域を守り、ときに拡大しようとしてきた。
それが戦争に発展してしまう。
日本に住んでいると、国境についてあまりイメージする機会が
ないかもしれない。
この壁の向こうに違う国がある、このゲートを越えたら違う国。
30年以上前だったか、板門店に行ったとき、ここまでは韓国、
ここからは北朝鮮という境界線を目の当たりにしたとき、
とても不思議な感覚がした。
国境って?同じ地球、同じ地面のつながりなのに・・・と思ったが
この国境には緊張感があり、怖さを感じた。
ドイツからフランス、フランスからベルギー、オランダ、イタリアからフランス。
電車で気軽に国境を越えられるEU。とても好きだ。
国境をいつの間にか超えていたという経験はこれまた新鮮で、
まるで同じ国。通貨も言葉も、まあ英語でなんとか通じる。
人が自由に行き来できるのは、平和の象徴。
そんな時代を生きてきた。
さて、今、アメリカでは移民対策が大きな話題になっている。
国境の壁の建設。
さらに移民の取り締まりは厳しくなるという。
アメリカ側の主張はいろいろ聴こえてくるが、
一方、移民になる人達の声がどうか?
メキシコとアメリカの国境の町ティファナ。
ここまで足を伸ばしたことはない。せいぜいサンディアゴまで。
そのティファナは、かつては歩いて国境を越えられるということで観光地としても
知られていたようであるが、
今は、何十万という人達が毎日、国境越えに列をなしているそうだ。
その手続きを待つ時間を待てずに、壁を自力で越えてしまう人も・・・。
制限が今後ますます厳しくなるし、入国しても強制送還されてしまえば・・・。
まさに、命がけの国境越えだ。
なぜそんななかでも、アメリカに行きたいのか。
とある報道番組でアメリカを目指すメキシコ女性の匿名の声を
きいた。
自分の国は貧困で、治安も悪く、家族がすでに誘拐され、次は
自分の番・・・恐ろしいから家にも帰れず、国境越えを目指して
いるとのこと・・・。
自分の家にも帰れない危険な国とは、情勢とは・・・。
移民には、移民それぞれが抱える理由がある。
生きていくためには、国を超えるしかないのだ。
そういう人たちは、メキシコに限らず世界中にいる。
そんな危険に、今、自分は侵されていない。
昨日と同じように目覚め、元気に平穏無事に1日をはじめている。
一杯のあたたかいコーヒーをいただけるなんて、
何というしあわせなこと。ありがたいこと。
これを当たり前と思ってはいけない。
今も、食事も睡眠もろくにとれないまま、
国境を越えたい人が列をなす・・・。
今、私たち日本人は、平和である。
でも、同じ時間に、同じ地球上で、多くの苦難を抱えて、
必死に戦っている人たちがいることを、忘れずにいたい。
国境。
見える壁を作らねばならないことは、本当に不幸だし、
本当は、
国境なんて、なくていいと思ってしまう。
もちろん、それは現実的ではないけれど・・・。
島国で良かった点、そうでない点。
それも含め、国境について考えたい。
そして、
個人的にはボーダーレスな考え方と、行動をとる人間で
ありたい。
世界はひとつ!を目指して。
国境の壁。
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