時々、「訳あり」商品を見つけると、ちょっと得した気分になる。
不揃いだったり、カタチが悪かったり、端っこだったり。
見栄えのよい商品を世に出すために、その製造過程に出た産物。
一番好きなのは、カステラの端っこだったりするが、これも、
まあ、「わけあり」商品だったりするが、立派な商品で、人気も高い。
先日、半世紀以上、ハンセン病の隔離病棟で生きてきた女性のことを
あるコンテンツで知った。
時代背景も含め、世の中から隔離されて生きなければならなかった
その人の半生を知り、差別されて生き続けることの大変さを知り、改めて
衝撃を受けた。
以前、都内郊外にあった資料館を訪ね、そのときも何ともいえない
ショックを受けてかえってきたことのことを思い出したが
実際に、この病と共に生き抜いてきた人の一言一言は、重い。
この方は出産を許されず、それでも子育てがしたいと、50代になって
からご縁あって、里子を受け入れられた。そのお子さんとの時間が
とても人生を豊かにしてくれているようでその会話がなんともいえず
いい。
「私らは、わけあり人間やね。わけありも、立派な人間。わけあり商品て
お得感もあって美味しいし、悪くない。それと一緒。」
親子の笑い声とともに、こんな会話が聞こえて、はっと気づかされる。
わけあり人間。
障害をもつ人のこと?いろんな事情をもち育ってきた人のこと?
人には言えないことがある人のこと?
世の中には、そんなわけあり人間は、多数いるし、
自分だって、わけあり部分があるかもしれない。
わけあり。
わけあり人間。いいじゃない。
私も立派なわけあり人間です。
と言えるこの方の生き方、本当に強くて、たくましくて、美しいと
思った。
その人がもつ個性、歴史、生きざまをみつめ、尊重し、尊敬して
協力しながら生きていけたら。
ふと、隔離されて生きてきた半世紀前の先人たちのことを
思って、差別のない世の中を、改めて願いつつ・・・。
「わけあり」がいい。
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