新潟で十数年前から仕事を一緒にさせていただいた方と
久しぶりに会う。
今はその当時と違った仕事をされている。
地元のまちづくりに尽力されている。
自分が歩んできた道をふりかえり、経験を活かして
最後は地元のお役に立つ。これがいいのだそうだ。
その方は病で寝たきりの奥様のお世話をされている。
周囲の協力を得ながら、
もう何年も介護をしながら、仕事も続けておられる。
最初の頃は、夜中に何度も起きて対応しなければならず
睡眠不足になり、仕事時間に眠くなることもあったそう。
そんなとき、その状況を知っている職場の人たちが
そっと机の前に衝立をおいてくれたことが、うれしかった
とのこと。
周囲の素晴らしい配慮、思いやり。
とにかく夫婦一緒にいる。そばにいる。
娘と一緒に助け合って、奥様のお世話をする。
時に涙を浮かべながら、奥様の元気だったころから
現在までの写真を見せてくださることに心動かされる。
ヘルパーさんが泊まりに来てくれる日ができて、
熟睡ができるようになった。
みなさんのおかげ。
泊まりがないときは、ご自身が夜中に起きてお世話
される。
「夜中に起きて、大変ですね」
「最初はそうだったけれど、もう慣れました。
慣れたら、どうってことないですね。」
その言葉もじんとしみた。
そう、実家に毎日通う生活を続けていた3年前のときのことを
思い出す。自分ができることを、やっていた。
しんどいよりも、そういうもんだとやっていた。
慣れたら、できるのだ。
そのしんどさよりも、奥様への愛。
その方の思いが、奥様に伝わって、一日でも長く一緒に
暮らせるように、心から応援したいと思った。
慣れればできる。なんてことはない。
大切なことは、
今できることを、すること。
慣れることで、人はさらに強くなるのかもしれない。
夫婦愛、家族愛、職場愛・・・。
大好きな人のために、大好きな人とともに、生きられる今を
大切にしなければと改めて。
「もう、慣れました」
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