幼少の頃から、ずっと一方的にあこがれていた俳優、アラン・ドロンが
亡くなったとの報に接し、ああ、ついにこの日がやってきてしまった・・・。
覚悟していたが、やっぱり悲しい。
実は、パリオリンピック開催中も、何度も思い出していたし、
「サムライ」という映画も最近観たところであった。
どうして、こんなに美しいのだろう。カッコいいを越えて、美しいのだ。
ステージではなく、テレビドラマでもなく。やはり映画の人だ。
小学校時代に、夜9時以降は大人の世界。「日曜洋画劇場」など、子どもは
見るなとか言われていた頃、親が寝静まったあと、こっそり観た
「黒いチューリップ」というアランドロンの初期の主演映画を見て、
本当に映画に出てくるために生まれてきたような、美しい人だなあと
子どものころから感動。映画へのあこがれは、「ベニスに死す」に登場
したあの美少年と、アランドロンと、マストロヤンニ。このあたりから
私の想像力と世界へのあこがれは、大きく芽吹いたと記憶する。
アランドロンは、親と同世代であるから。大人になってからも、
何度ももういくつかな、元気かな。どうしているかな・・・とずっと気に
なっていた。
何年か前に、引退前のインタビューを見ながら、華麗でありながらも、
孤高の俳優人生を生きている姿に哀愁を感じたことも記憶に新しい。
フランスへのあこがれは、まぎれもなくアラン・ドロンが見せてくれた
世界からだ。
それは今も変わらない。
今回の訃報で、マルチェロ・マストロヤンニが亡くなったときのことを
思い出した。振り返れば、1996年12月19日のことだった。
私も、まだ会社員時代。有休か代休をとって小旅行。
あの日はパリに滞在していたが、ベルサイユに行ってパリ市内に戻ってくる
途中で、街角のニューススタンドで(ネットはまだない)訃報を知り、
ショックを受けた。
亡くなった、しかもなんと、パリの病院で亡くなったとのこと。
どこにいるんだろう?駆け付けたい気持ちになった。
あの、マストロヤンニが今パリで?ほんとうに?
思わず、町のフラワースタンドで小さいブーケを買って、セーヌ河に投げ、
祈りをささげたことを思い出す。
あれから28年・・・。アラン・ドロンも逝ったか・・・。
あの有名すぎるテレビコマーシャルの名セリフ。懐かしい人も多いことだ
ろう。
わが初恋の人はベートーベンであるが、その次はアランドロンだ。
(なんという贅沢な少女時代?)
88歳の人生。どんな終わり方をしたのだろう。
本当に一度は会ってみたかった方である。
今はパリにいないが、心のブーケを私のセーヌに投げ入れる。
映画は永遠だ。これからも永遠の存在を愛し続けたい。
人はいつか逝く・・・。悲しいけれど。
たくさんの感動に感謝を込めて、祈りをささげる。
セーヌ川に哀悼のブーケと、MERCI!
カテゴリー: Essay (Word) パーマリンク