魂を未来へ伝えるプロジェクト発進

1枚目の写真は、遠藤周作も愛した長崎市の外梅の出津にあるド・ロ神父がつくられた
旧救助院という施設の中にある、まさにド・ロ様が母国フランスより取り寄せられたオルガンと置時計。そこにド・ロさまの肖像画も一緒にある。
このオルガンを使って以前ここでコンサートを行ったこともある、
私にとっては大変思い出深い場所。
そして、そこで出会ったシスターともご縁を長くいただいている。
https://shitsu-kyujoin.com/publics/index/3/
久しぶりにそのシスターに連絡をとると、見せたいものがあるということで、
今回ご案内いただいたのが2枚目からの写真。切り開かれた山から見える眺望に
心が開かれていく。
ド・ロさまのおかげで見ることができる、本当に美しい世界だ。

フランスの宣教師ド・ロ神父は明治時代、来日されその生涯を終えるまで、ずっとこの長崎のここにとどまり、地元の女性に教育を行いながら、地元の振興に尽力された。
キリスト教の禁教時代には信徒たちが長崎市内から逃げてきて、潜伏しながらも信教を続けた、決して肥沃な土地とはいえないこの一帯をド・ロさまは耕し、田畑をつくり、作物を育て、パスタなどの工場もつくり、その仕事を女性たちに教え、布教を行った。
印刷、建築、医学などの知識を有したド・ロさまはまさにマルチな才能をこの地区の繁栄に
尽くされた。
そして、今、ド・ロさまの偉業を未来に伝えようということで、素晴らしい取り組みが始まっている。
ド・ロさまと歩くミュージアムづくり。
オルガンとの出会いをいただいたシスターたちの悲願のプロジェクトである。

ド・ロさまと地元のみなさんが切り開いたこの地区を今再び、多くの人に知っていただき
たい。生活に必要なものを自分たちで作る。SDGsという言葉がない100年以上前から、
持続可能な生き方を実践されていた先人たちの暮らしを知ることができる。
それは、ド・ロ様の教えによるもの。
ここを訪ねれば、その偉業をよく理解することができる。
今、ド・ロさまが作られてきた畑や作業所を整備しながら、
公開しやすい形へと工事も進み、近いうちに一般にも公開されることになる。
キャンプをしながら、自炊をしながら、ド・ロさまたちが生きた時代に思いを馳せる。

「多くの観光客に来てほしいのですか?」
「いえ、単に観光ではなく、ここにきてド・ロさまの遺されたこと、思いを知ってほしい。
そういうために皆さんに訪ねていただきたいですね」
と、案内してくださった赤窄シスターはおっしゃる。

意味のない利益権益まみれの無駄なイベントや施設の建設ではなく、
先人が残した大切なお宝を守り伝える事業こそ、行う意味がある。
ド・ロさまと歩くミュージアム。ぜひ応援したい。
そして、また近いうちに訪ねたい。

なぜか印刷にも精通されていたド・ロさまがこの出津の地区を
愛されたということや、あの素敵なオルガンを遺されたということで
勝手に親しみを持ち続け、そしてご縁を感じている。

そして、ド・ロさまの素晴らしい取り組みをぜひ、一人でも多くの方に知って
いただきたい。ご案内いただいたシスターのお気持ちに感謝し、
微力ながら応援を続けたい。
本プロジェクトの詳細はこちら
https://fr-doro.jp/

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