神戸の街を久しぶりに歩く。
流石のみなとまち。
五大港町はそれぞれ特徴があるが、(函館だけはまだ行けて
いないが)神戸は横浜とも一味違う趣がある。
約30年前に、大地震で被災した、この町も、元気になった。
見事に復旧した。道路や建物だけでなく、町自体が新しく
なり、活気が戻った。
「ああ、神戸だ~」
20代の頃のあこがれの気持ちがよみがえる。
なんといっても、商店街に活気がある。
元町から三宮へ・・・。若い時代の取材先などを懐かしく
たどりつつ海と山手の間を歩き進む。
ふと、老舗のおせんべいやさんに出会う。
ショーケースに数々のおかきを陳列する、懐かしいスタイ
ルだ。
量り売り、枚数売り。ついつい、いろいろ買ってしまう。
ここは、先日「神戸」を特集した番組に出ていたお店。
震災の際に、店主が地元の人たちに、お店のせんべいを
せっせと配って地元の人を勇気づけた・・という話が
とても印象に残っていた。
その店、そのおせんべい・・・。
気になっていたら、偶然目の前に現れて、驚いた。
ここか・・・。
それぞれが大変なときに、受け取る1枚のせんべいとは、
どんな味がするのだろう。
うれしくて、涙が出ただろう。
思わず、お店の人に声をかけた。帰り際に、
「また、ぜひ神戸に来られたら寄ってくださいね。」
なんとも人情溢れる接客。
ああ、人を支える、助けるのは人情なんだ。人情と
せんべい。
私だったら、何ができるんだろう。
いざ!のとき、自分にできることを考えてしまった。
(もちろん、まずは人に迷惑をかけないようにすること
だけれども・・)
町の人を救った、1枚のせんべい。
ありがたくいただいてみるとしよう。
港町のせんべいは、人情の味がする。
いざ!というときの、人情と・・。
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