同じことは話せない。

子供のころから、オルガンやエレクトーンを弾く際、アド・リブが得意であった。
アド・リブ、即興・・・。その場の発想で自由に表現するスタイル。
その場で自由に弾いてしまう、それなりに弾いているだけで曲ができる・・。
もちろん楽譜はない。勝手に指が動くというものだ。

これは話をする場合でも、即興的に言葉が出てくる。
話すことを生業としている人には、それは当たり前のことか?
台本どおりではなく、それがなくて話せること。

ある仕事で、同じ内容で同じ時間で、違う人に向かって話すという
タスクがあった。
パワーポイントで何枚かを見せるようにし、そこにはポイント的なワードや
デザインを入れているだけで、原稿はとくにない。
この流れでこういうことを話せばいい・・という程度の準備。
構成さえ崩れなければ、それなりにカタチにはできる。
ということで、3回の本番を続けて行った。

予想どおり、同じ話はしなかった。できなかった。
聴いている顔を見ながら、相手の様子を見ながら、話題を少し変えたり、
起承転結は変わらないが、とにかく違う話になっていた。

ライブで鍛えられているからかもしれない。その場でのベストを尽くす。
ということで、三回とも違う話になったが、3回とも聴いていただいた方には
その違いをしっかり体感いただけた。

話術があるとか、そういうことではない。アドリブが得意ということだけだろうが
同じことは話せない。気が付けば自由にやっている。自由にやれるときの方が相手に
ライブに伝わる感覚もある。

原稿を作らないで人前で話す経験を重ねてきて、また即興に親しんできた時代もあって
それらが今に生きている。

説得力のある話をしたいときには、自分の言葉で。



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