「今日はずっと雨。珍しいなあと思って。そうか、これは涙雨なんだね」
涙雨・・。何人かの方に言われて、そうなんだ。昨日は朝出発するときから、
都内に行ってからもずっと雨が続いた。
「お母さんがずっといるんだね。娘のことが気になってしようがないんだね」
とも言われ、そういうことか・・とも思った。
どしゃぶりの中を歩き、びしょびしょになった傘をまるめながら、携帯の着信
に気づく。知らない番号、でも058とあるから、岐阜の方からだ。
!!!もしかして、折り込みチラシを見た人からかも?
最近は、知らぬ番号に折返しかけることも少ないが、これは大丈夫と思い
すぐかけ直す。
しばらくしたら、相手の方が電話に出られた。
「あのー、今朝の新聞に入っていたチラシを見て・・・」
と言われ、思わずガッツポーズ。
母の写真を見ながら、そしてチラシに書いてあった出前コンサートのことが
気になってかけてこられたのだ。
用件は、夏に行いたい認知症(予防?)カフェでのコンサートの相談。
「いくらぐらいでやってもらえるんですか?」
チラシに、演奏料は「ご相談ください」と書いてあるからだ。
いろいろお話しをうかがうと、母とはそのカフェなどで会ったことが
ある方のようだ。そして母の話から、娘は演奏をすると聞いたことがあったと、
そんなことでチラシを見て、ピンときたとのこと。
その方は、母が亡くなったことをご存じなかったため「今日は命日です。
なので、母の写真を入れてチラシを入れてみたんです」
と伝えたら、電話先で驚きの声。何度も、そんなー、へえー、と
言われた。
「詳しくはぜひ近いうちにお会いしてご相談させていただきますね」
ということで、電話を切る。
チラシを入れたことで、母の存在を思い出していただく、亡くなったことを
ご存じない方にはこのように伝えることもできる。
「いやー、チラシを見て、感じることがあって、すぐ電話させてもらいました」
そんな言葉をいただいた。
チラシは新たな出会いをつくってくれるコミュニケーションツール。
やってみてよかった。
妹に「チラシを見て電話がきたよ。」とメッセージする。妹もびっくり。
「いい命日になったね」とそんな言葉で結ぶ。
何事も反応があるかどうかわからない。やってみなければわからない。
やってみて、良かった。
1日仕事や用事を片付け、東京から名古屋へ戻ったら、雨はぴたりやんでいた。
「今日も1日お疲れさん」と母に言われたようであった。
何があっても、雨がふっても、心に傘をさして、
そして、長崎の教会庭でみつけた愛らしいマーガレットを胸に
今日からも元気に朗らかに、元気に歩いていこう。