親が現役時代に半世紀近くお世話になった会社の社長さんから便りが
届く。
父の葬儀以来、約半世紀ぶりに時々交流させていただいている。
今回は、久しぶりのお手紙で、もう80歳になったので・・・、と
ひとつの節目のようなことを書いてあり、最後には父へのお礼や
私へのエールなど書いてあり、読んでいて胸があつくなった。
文末から、ひなまつりに書かれたもののようだ。
桃の節句に私ごときに、どんな思いで、この手紙を書いてくださったのか。
すぐに返信を出したい
この交流を止めてはいけない。と咄嗟に思った。
メールをやりとりしている間柄ではなく、手紙と電話という
方法でつながっている。でも、今回はお手紙ありがとうございました。
とすぐ電話をかけるような・・ではない。
そう思ったら、最近は一筆箋を多用するが、今回は社会人になって
から半世紀ほど愛用している、丸善の便せんと愛用の筆ペンを
引き出しから取り出していた。
この丸善の便せん。1枚に10行ほどしかかけない。罫線が太くて
大きな文字が書けるので、ついつい何枚にもなってしまうが、
紙の上をペンが滑らかに泳いでくれるので、自分の想いがそのまま
湧いて文字になるのだ。
そこに今回のお手紙のお礼を書き始めた。
父が背中で手紙を書くのを見てるような気がした。
気が付いたら数枚になっていた。
この便せんを使うときは、ここ!というとき。
これまで何十回もそうしてきた。
パソコンを利用することで、手紙に文字を書く機会は減ったが、
やはり紙に書くというのは、温度や気持ちも伝わり、良いものだ。
感謝の気持ちとともに、封筒に入れて投函した。
想いを伝えるには、手紙。手の紙。
やっぱりそうだな・・。
文字を書くことで伝わることもある。
書いて伝えること。
忘れないでいたい。
それにしても、あの便せん、なぜすらすらかけるのだろう。
丸善さん。どうかこの便せんは、ずっと製造・販売してくださいな。
父に感謝するということは、仕事をさせていただいていた職場に
感謝するということ。
世の中の社長さんは、社員だけでなく、その家族と歴史までを
背負う。大変な仕事だ。
ピアノを今も弾けるのは、この社長さんのおかげ・・。
だから、大切にしなくては。
思いを綴る、決めの文具セット。
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