かな文字礼賛

あるお店の男性販売員の人から名刺を受け取った。
名前をみると「とも」と書いてある。
思わず「へえ。ひらがなの名前って珍しいね」
と反応してしまった。
きっとよくそう言われてきているのだろう。
「そうなんです。うちはみんなひらがな二文字の
名前なんです。あい ゆう とも です。」
「へえ、いいねえ。すごいいい名前、お父さんお母さん
よく考えられたねえ。ほんとうにいい名前だわ。大事に
しなくちゃね。」
すっかり、そのへんのおばちゃん状態で、若き販売員さん
にこんな風に話してしまった。

若い人の名前は最近、キラキラネームといわれる、当て字の
ような、正直読めない、時々理解できない名前も増えており、
昭和のまさに自分の名前のように「◌子」という名前は最近はめったに
お目にかからないし、それがいいとは思わないけれど、
読めない漢字の命名にはちょっと疎外感を感じるときもある。
それに比べ、このひらがなの名前は、なつかしくもあり、新鮮であり、
そしてなんとも漢字にはない、やさしさを感じることができ、好感も増す。

大正、明治と時代をさかのぼると、女性の名前はかな(カナ)に文字
も多かった。(最近、お墓に行くときよく墓石に書かれている名前を
観察している・・・)はな、とめ、ウメ・・・。私の知り合いにはハル
さんという方もおられる。
カナ文字の名前。改めて見てみるととてもシンプルで、親しみがわく。

名刺1枚で、相手の名前を知り、そこからコミュニケーションが生まれる。
そういう点では、私の名前は、名前自体からは会話は発展しないかも
しれないが・・・。

そういえば、先日参加したある企業の株主イベントでは株主のことを
「株主さま」と記載していた。これも、とてもやわらかいいい表現だと
思う。

日本人だから、今改めてかな文字コミュニケーション、改めて大切にしたい。

カテゴリー: Essay (Word) パーマリンク