社長は会社の鏡。

十数年来の知り合いの、ある企業の社長さん。中小規模の製造業を担っておられる。
加工技術の専門会社の三代目である。
その方が社長に就任された頃に、町工場でも情報発信が必要と広報の勉強会に意欲的に
参加されたことがきっかけ。そこから細く長い糸でつながっている、そんな関係。
新潟で出会ってきた1000社以上の企業のなかでも、忘れることができない社長さんの
おひとりだ。
その方は、名刺1つとっても、当時はまだ珍しかった似顔絵のものを使用したり、
展示会にも早くから出展され、自らの技術力をアピールするべく、とにかく待ちではなく、仕掛ける営業を実践されてきた。
漫画を使ったPOPや、人の顔が見える技術紹介、とにかく一度見たら忘れない、
印象に残る工夫を続けてこられてきたのが印象に残っている。

社長自らが技術者でもあり、営業マンでもあり、そして広報マン。
展示会も県内や東京だけでなく、名古屋などちょっと意外と思われがちな場所にも
いち早く積極的に参加され、思わぬ現地で懐かしい再会をすることもあった。
さすが、情報収集も早く、うまく行政の力も活用しながら、中小企業としてできる取り組みをいち早く実践してこられた。
勉強熱心で、情熱にあふれ、迅速な行動。そして誠実。そんな印象の社長さん。

3年ほどお会いしていなかったが、コロナもあけて、展示会にも出店再開、そんな折、
モノづくりのDXの勉強会にお誘いしたら、ぜひ!ということで、おいでになり
久しぶりの再会、そしてその後、初めて会社に伺う機会を得た。

実はその会社のことは社長、名刺、ホームページ、展示会の様子から存じあげている
範囲で、どんな人がどんな風に働いておられるのだろうか?までは存じあげなかった。
そういう意味で、会社にお邪魔することは相手を知るという点でとても重要である。

今回会社に伺って思ったのは、社長は会社の鏡であるということ。
社長から受けていた会社の印象が、会社で感じた印象と同じであったのだ。
製造業の現場をきれいに保つことは手間がかかる。それをしっかりされており、床から
壁から機械から、そして働いておられる職人さんもみなさん綺麗にされている。
また挨拶もしっかりされ、しかも笑顔付。
これは社長の教育がきちんとなされている証拠だと即実感した。

コンパクトであるからこそできる距離感なのかもしれないが、
社長と社員の距離が近いのも、社長が会社の鏡であるポイントなのかもしれないと
感じた。

中小企業が生き抜くためには、自社が生き延びるための独自の技術力と
それを生かす市場開発力が必須だ。

社長に就任され十数年経過し、多くの試行錯誤を重ねながら、生き延びてきた
自信を一言一言発せられる言葉から、また熱く温かいまなざしから感じ取ることが
できた。

改めて挑戦を続ける中小企業の社長さんに心からエールを送りたいと
思った次第。

「刃物は製造の原点」・・。サイトで知ったこのフレーズも、気に入っている。
その道のプロたちによって、日本のモノづくりは支えられていることも、今回
再認識した。
https://www.kato-kk.net/





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