そこに行く理由。

YOKOHAMA。
日本でもいち早く世界への扉を開いた港町のひとつ。
ここは、長崎を知るより前から親しみをもってきたハイカラな町。
中学生のとき、ひとりで大垣発の夜行各駅停車に乗って、初めて下車した
横浜。。。もう半世紀近く前の人生初の冒険。
横浜にくると、いつもハレな気持ちになり、仕事で出かけるときもウキウキ。
そして帰るときには、いつもわが心の友、観覧車を見ながら自分の道を確認し
「これでいいのだ、明日もがんばろう」と元気に駅に向かう。

東京に住んでいるときも、今も同じ、まさに私にとってもランドマークのこの場所。
そこをたずねるお目当てはこの観覧車と、もうひとつ。
お気に入りのレストラン。https://www.mosdining.co.jp/chefs-v-yokohama/
野菜がとてもおいしく、シェフとホールスタッフの
おもてなしが格別だ。そしてこのロケーションが横浜で過ごすひとときを特別な
イベントに仕立て上げる。                 (以下につづく)

そのレストランがこの1月末に閉店との報を知り、ショック。そして慌てた。
なんとかもう一度行かなくちゃ。東京暮らしから名古屋に移ってから訪れる
回数が減った、コロナでさらに減った・・・。ああ、もっと行けていたら・・と
心からの後悔と残念な気持ち・・・。
そして、ここを紹介した方々に連絡を入れる。すると、皆さん驚かれ、大変残念がられた。

早速、なんとか都合をつけ、店に向かう。
ああ、ここ。この空間。この料理。このおもてなし・・・。
もう2月になったら、この店は存在しないのか・・・と思うとたまらない気持ちに
なる。

お店はいつでもある、とお客は思っているが、実はそうではないことを、コロナで
知った方も多いはず。この店はコロナは頑張って切り抜けたが、他の理由で今回の
結果となった。
とにかくお店はひとつの「いのち」。ある日生まれて、そしてある日終わる。
空間がそのお店独自の料理、サービス、演出といった人の力によって、素敵な店に
いのちある店になっていく・・・。
お気に入りの店がなくなることは、言葉にならないほど寂しいものだ。

カウンター席から海を眺めると、日本丸やそして、わが観覧車も見える。
何と贅沢なランチを、ディナーを幾度も楽しませていただいたことだろう。
一緒にここで食事をした方、ご案内した方、ここで出会ったスタッフ・・・。

いろんな顔が浮かんでくるが、みなさん、とびっきりの笑顔で幸せ時間を共有した。
そんな思い出とともに、束の間のラストディナー。

最後のデザートをいただき、新幹線の都合で、後ろ髪をひかれる思いで店を後にする。
桜木町に向かう途中、何度も何度も観覧車を眺め、なぜ、ここに通ってきたのか
と改めて問う。
その理由のひとつであったそのお店が、営業の灯を消すことは、なんとも、なんとも・・・。
でも、長きにわたり素敵な時間を与えてくれたお店に感謝し、これからの新たな展開にも
期待したい。
この週末はラストウィークエンドの営業になる。さぞかし、多くのファンが足を運ばれる
ことだろう。最後の瞬間まで、美味しいお料理とおもてなしで、お客様に感動を伝え、
良き人生の思い出となるように心から願っている。

カテゴリー: Essay (Word) パーマリンク