年末の風景とハレ。

昨日あたりから、仕事納めを経ての帰省ラッシュや買い物客の賑わいなど、
日本列島も一気に年末モードに突入。
さらに今日もそれが続くだろう。

コロナ禍の重苦しかった、言葉にできない重圧から解き放たれ、
人々は自由にかつての年末のように元気に動いている。
日頃、頑張る人たちが、自由に好きな休日を過ごせるようになったことは
本当に良かった。

昨日、ふるさと岐阜の農協の直売所に寄ってみた。
ふと田舎の年末の様子に触れたくなったのだ。
営業時間開始まもないのに、駐車場はすでに満車。多くの地元の皆さんが
年末の買い物に押しかけている。今日はまだすいていると思っていたけれど、
すでに大盛況。
車がないと来られない場所にあるため、夫婦や家族で相乗りして来店する
人がほとんど。もみじマークのシールを貼った車が目立つ。
レジに並ぶ人も70代、80代に見える高齢者が多い。
日本社会の縮図のようだ。地方の町の年末は、こんな感じなのだろうか。
お餅やしめ縄、そして箱入りみかん・・・。おせちの材料以外に、こんな
商品がずらり店頭に並ぶ。
とくに箱入りみかんは、孫たちがやってくるのを迎え入れる正月のシンボルかも
しれない。こたつとみかん。日本の正月の風物詩・・・。なつかしい。

ああ、正月だと実感し、大量に買い込む人々の笑顔を見て、正月を迎える
ことができる幸せを、みんな感じていると想像する。

さらに近所の米屋さんにも立ち寄る。
米屋さんは年末、お餅の注文と販売で大忙しだ。
一年で最大の繁忙期。
車で移動できない、自転車や徒歩で買い物に来るお年寄りも対応。
大量ではなく、小分けの切り餅販売も特徴。
そこの米屋さんは、幼いころからの馴染みのお店であり、
今年も頻繁に顔を出させてもらった。
母の親友であったおばちゃんが、看板娘に会うために。
彼女は、今も元気に店頭で接客を仕切っておられる。

「忙しいですね、あと2日がんばってくださいね。」
とがんばる80代の看板娘に声をかけ、夕食のおかずを差し入れる。
大晦日まで働く。それが米屋さんや仕出し屋さんの年中行事。
これも正月の風景だ。

日頃お世話になっている皆さんが、お元気に年を越せること、これが
一番の願い。

ハレの日を楽しめるのは、元気な証拠。

平和な日本に感謝。

一方、世界に目を向けると、違うハレの日が続く国もあり、心が痛い。
早く日常が戻るように、笑顔が戻るように。

日本の年末風景を見ながら、違う世界も同時に見えて、ちょっと複雑な
今年の年末・・・。

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