新潟駅から出ている、「しらゆき」という名の特急。まさしく、これからの季節は白い雪の中も走るのだろう。そんな季節になる前、新潟市と妙高の往復に利用した。飛行機や新幹線ではない在来線の魅力は、流れる風景をしっかり確認できること。
この特急は新潟を南北に走り、馴染みの駅に停車する。駅ごとに、ああ、あの人、この企業さんと次々と浮かぶ顔があり、それだけでも何とも懐かしく、故郷に戻ったような気持ちになる。
日本海沿いを走る柏崎周辺。
冬の空、海はとても色も表情も厳しい。一歩外に出たら、凍えそうだ。
車窓を眺めていたら、空の上で手を振っている人が見えた気がした。
約10年前に交通事故でなくなってしまったMさんと、昨年病気で旅立たれたSさん。
お二人がにこにこして、「せんせーい♪」と手を振っているように見えた。
そうこの写真の近くの場所にSさんは暮らしておられたし、この特急に乗って、
よく私のデぃナーショーに来てくださった。
Mさんも上越からこの特急に乗って同じように来てくださった。
なのでこの特急に乗ったり、最寄り駅に停車したり、この風景に触れると必ず浮かんで
くるのだ。
厳しい日本海の冬を元気にのりきっておられた人たち。
今はどこにおられるのだろうか。
海を見ながら、「しずえさーん」「むーさん」と呼びかけたくなった。
日本海の冬。たまらなく厳しく、さびしい。
都会の年末の喧騒とは全く異なる、こんな師走。
海だけでなく、まるでイギリスの画家ターナーが描いたような芸術的な雲に
おおわれた空。そして今年のミッションを果たした広大な越後平和にも出会う
ことができる。
この特急は冬の新潟の一面を知るには、最高の手段だ。
新潟の冬は奥深く、心にしみわたる。
手を振る人を追いかける、冬の海と空。
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