語れる力とストーリー。

時々、青山方面に出向くことがある。
日本でも有数のファッションの発信拠点であり、世界からも多くの
ファンが集う。
さまざまなブランドの本店はこの青山エリアに結集しているため、国内外の
主要なブランド商品の最新情報を入手、観察するには、最高のロケーション
である。購入するしないにかかわらず、美術館のように巡り、今どきの
トレンドを体感するには大変有効なエリアである。

そして、そこで見るのは商品だけでなく、販売する人の発信力。
どこまでそのブランドのことを語れるか。で商品の魅力は何倍にも
増し、また語れなければ魅力が伝わらない。
実は、商品を見るだけでなく、そのコミュニケーション力も学べる
点も青山が興味深い点である。

全国のデパートにも店舗が入っているブランドも多く、購入するだけであれば
全国どこでも、ネットででも購入することができる。
でも、直営店では、さらに青山本店では語れるスタッフに出会うことがあり、
体験が大きく異なってくる。

本部直轄ということもあるが、オーナーやデザイナー、作り手に
近いところで仕事をしているため、そのスピリッツを日常的に感じ、
仕事をされているため、その説明力に魂が込められているのだ。
トップの目が行き届き、思いが深く厚く共有されているという点では
独特のオーラを感じることもできる。

デパートの店舗などでは、ちょっと購入すると、
「いつもどこでお求めですか?」と、画一的でつまらない問いかけを
され、げんなりすることがある。
どこで買っていようがいいじゃん。と思ってしまうが、
そんなことを聞く前に、しっかり説明をしてほしい。
販売する仕事は、伝える仕事である。説明をする仕事である。

とそんなことを、青山に出向くと、改めて感じるのである。

私が学生時代からあこがれていたブランド。そのオーナーたちは
今、80代になられてもお元気にご活躍だとお聞きした。
「時々、この店にもぶらり立ち寄るんですよ。この内装も、
自らの構想で、できたものです・・・」
たとえば、こんなストーリーを聴くと、その店舗にも改めて興味が湧く。
今回は、尊敬する山本耀司さんや、川久保玲さんがまだまだ
お元気で現役でおられることを聞き、背筋が伸びた。

説明力はお客のイマジネーションを膨らませる。

何を以て伝えるか。それは商品の特性やターゲットによって異なるが、
最後は人の力であることを、改めて学ぶ。

いざ、青山へ。
普段接する世界と違う空間に身をおくと、新たなヒントが湧いてくる。

説明する力は、ブランド、企業の価値を伝える力に匹敵する。


カテゴリー: Essay (Word) パーマリンク