印刷会社でつとめた時代に学んだことは、ディレクションという仕事。
もっと大きな括りになるとプロデュースという役割。
いろんな形でモノづくりやコトづくりに関わってきたが、とくにデザイナーと
組む仕事は多かった。
自分が考えたアイデアやイメージを具体化していただく。
コンセプトをビジュアルにする。
クライアントの意向を受け、最適な表現を導く。
なんて、若い時はよく偉そうにやっていたなとも思うけれど、
懐かしい限り。
今のようにデジタルが普及していない時代であった20代、30代は手書きの
ラフスケッチ、今も忘れないが、紙のボードに貼ったプレゼンボード・・・。
プレゼンテーションは大げさなイベントであった。
デジタルの普及でプレゼンテーションの手法も様変わりしたけれど、
いつの時代も、プロとしてお客様の要望にあった、そして期待を応える提案をすること。
それは変わらない。
そのためにデザイナーとは昼夜を問わず、打ち合わせをして、一緒にプレゼン準備。
徹夜、日曜の打ち合わせ、早朝のチェック・・・そんなことも日常茶飯事。
とにかくいい仕事をするために、ともに汗をかき、知恵を絞った。
プレゼンに勝った日はともに歓び、とれなかったときもともに悔しがり・・。
そんなクリエイターとしての青春時代のことを改めて思い出した。
そのきっかけとなったのは、二つの出来事。
まず、30年以上おつきあいいただいている東京のデザイナーさんの娘さんとお会いした
こと。その娘さんが生まれる前から、一緒に仕事してきたという歴史を話し、
お母さんとどんな風に仕事をしてきたかを少し伝えたら、娘さんは、お母さまの
知らなかった仕事での一面を知って、大変興味をもってくれた。
お母さまの協力なしでは、グラン・ルーは生まれなかったかもしれないし、
今も自信をもって自分のブランドを維持できているのはデザインのおかげとも
話したら、目を輝かせてきいてくれた。
それから、30年以上おつきあいいただいている京都のデザイナーさんと
久しぶりに乾杯をしたこと。
彼女が起業して30余年、私が脱サラする前からのつきあいであるので、
起業されてまもなくお付き合いが始まり、今にいたっている。
今も京都にちなむ仕事はお声がけをさせていただいている。
あれこれ、昔話もしながら、仕事に対する思いを語り合う。
価値観が同じということで、いつも安心し、勇気もいただく。
どちらのデザイナーさんとも30年以上のおつきあい。長いといえば長い。
人生の約半分、お世話になってきたのだ。
東京、京都。それぞれの時代、拠点で出会ったかけがえのないクリエイティブ
パートナー。
女性同士ということもあり、また世代も同じで、女性が働く環境の厳しさも
ともに経験してきており、なんといってもプロ意識をもって仕事をやりきると
いうところが、これまでご縁が続いた一番の理由かもしれない。
寝る時間を削って一緒に作り上げてきた日々。
あの経験が今に生きているのだと思う。
懐かしく、また誇らしい。
今もこのデザイナーさんとの共働は続いている。
そして、これからもお互いが現役であるうちは、ずっと刺激を与えあい、
一緒に進んでいくつもり。
そのために元気でいなければ。
プロ意識。結局はここだ。
妥協を許さない仕事。そこに共感し、お互いやりきった時代があるから、
絶対の信頼を寄せている。
こんな素敵なパートナーと仕事ができて、そして応援していただけて
うれしい。と改めて感激、感謝。
これからも、きらり光る新鮮な感性を養い、表現、発信していきたい。
そんながんばるお母ちゃんの背中を見て、デザイナーさんたちのお子様たちが
素敵に自立していく姿を見ることが、私もうれしい。
デザイナーさんたちも私の大切な心族であるから・・・。
思いをカタチにする仕事。
とても重要な仕事をする仲間。心から尊敬する。