おかげさまで・・のお守り

コロナ・・・。今となれば、少し過去の思い出にも
なりつつあるが、
3年前は本当に大変な状況であった。

自分でも忘れていたが、お世話になってきた
ある飲食店の社長さんに、ささやかながら・・・と
以前お世話になった恩返しも含め、気持ちのしるしを
手紙とともに、お渡ししたことがあったようだ。
本当に、外食産業は大変で、倒産した例も少なくなかった。

その企業は工夫を重ねて、苦しかった時期を切り抜けて
今は以前のように繁盛店に復活している。
そう聞いて、本当にうれしく思っていた。

久しぶりに社長さんとお会いする。
こちらも会いたいと思っていたが、相手も会いたいと気にかけて
くださっていた。
そして再会、よもやま話をしながら、コロナ禍をよく乗り越えたね
という話をしていた。すると、その社長さんが改まって、
バッグから封筒を出された。

「本当にあのときは、ありがとうございました。
なんとか、あの状況から今日までがんばってこれました。
本当にあのときのことは忘れず、ずっとお守りと思って
がんばってきました。そして、早く元通りになったら、
この気持ちは必ずお返ししないといけないと思っていました」
と言いながら、3年前に渡した封筒を私に返された。
「このお手紙は、ずっとお守りですから、こちらはもらっておきますね」
ともうひとつの封筒は、ご自身が改めて持ち帰られた。

3年前のほんの気持ちをずっと胸にがんばってこられたのだと
思うと、思わず涙があふれそうになった。
自分ではこのことは忘れていたし、当時も、それまでお世話になったから
という気持ちだけで送ったが、ずっとそれをお守りにしてくださったとは・・。

返された封筒。
コロナではお守りとしてお役に立ったそうだ。
次は、困っている誰かに役立てるもことももちろん、
やはりこのお店のお役にも立てたい・・・。

コロナの間にしたささやかなことを、ずっと覚えていてくださったことが
本当にうれしかった。
ときに、誰かのお守りになれるなんて、なんと素敵なことだろう。

覚えていてくれた、気持ちを胸にいだき、頑張り続けてくださったことが
心からうれしかった。

二度とあの苦しい事態には戻らない。
活気に満ちた、元気な日々を感謝とともにかみしめたい。


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