96歳の先輩・お友達・心族。

母が親しくしてもらった方たちとの交流をできる限り、心がけている。
その方たちには、母の代わりに1日でも元気に長生きしていただきたいから。

母が気に入っていた雑貨が出てきたので、それを土産に暑中見舞いに、
ある方のご自宅へ伺う。

その方は96歳。なんと、自宅の横にある自らが創業したお店の受付に今も、
可能な限り座って、電話番をされている。
電話も出られるし、会話も普通にできる。
もちろん仕事の詳細は、現役の皆さんがされているが、
今も、自らが長年育ててきたお店を家族とともに守っておられている。
実質的には世代交代をしているが、わが店がある。ということが生きる
張り合いになっているのだと思う。

この方は、私が顔を出すと、本当にうれしそうな笑顔で迎えてくださる。
「ちょっと、ここへ座って~」
と店の脇のテーブル席に案内され、自らも座り、話がはじまる。
母との思い出がほとんどであるが、また、伺うたびに同じ内容の話も
出てくるが、それでも本当に思い出をいつくしみ、日々を大切に生きて
おられる様子が伝わってくるので、私も聞いていて心が温かくなり、
つい長居する。

96歳になって、周囲に感謝して、日々のなかに楽しみ
をみつけて生きておられる。
そして、今でも何か挑戦することがあったら、やってみよう!
という前向きスピリットも健在で、本当に素晴らしい。
この方の誕生日は1月であるが、
「次の誕生会で、何をスピーチしようかと考えて
いるけど、どんな風にしたら、楽しくなるかな?」
と相談を受ける。今は8月だから、4月以上先の話だが、
デイサービスでの毎月の誕生会を見ていて、自分のときには
と今から考えておられるというのだ。
「どうせ話すなら、皆さんにいい話ができたら」と言われる
その姿勢に拍手を送りたくなる。

実は、デイサービスのスタッフにもこの方は尊敬されている。
「あんなふうに年を取れたらいいと思える、素敵な人生の
大先輩ですね」と30代・40代の人にも支持されるのがよくわかる。

私にとっては、まさに学校の先輩でもあり、人生の先輩でもあり、
母から受け継いだ、年上の大切なお友達でもあり、そして心族。

「お母さんの分まで、1日でも長く元気に生きてね。
まず、110歳までは元気にね。」

握手を交わして、おいとまする。何度も手を振って・・・。
いくつになっても、前向きに生きられる。

そのことを教えていただき、
また、私はこの方の分まで、元気にまだまだがんばらねばと
思った次第。

これも母から受け継いだ関係。これからも大切に。



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