半径5メートルの世界に。

人生の半分以上の長き時間、ずっと自分を見守ってくださっている方。
有難い存在だ。会社勤めを経て、定年後、新たなステージで公私ともに
充実した人生を紡いでおられる。人は肩書ではなく、「人」について
くるのだということを教えていただいた方。
私のことは、20代の会社員時代から、独立。そして今にいたるまで
ずっとその行動範囲や活動の様子を見守っていただいている。

思えば、30年以上のおつきあいになる。
私の30代、40代前半は、本当に良く飛び回っていた。
国内だけでなく、台湾、上海、ニューヨークやパリや、ローマ
・・そして、ブエノスアイレス。あまりに行動範囲も広く、頻繁に
動き回るので、その報告をするたびに、ブログを確認されるたびに
「一体、どこまで行くの?」と関心を寄せつつも、ゆくえを心配されていた。
じっとしていない、どこでも出かけてしまう。ほんとうにそんな時代であった。
ある意味、若かった。

あれから時が経ち、50代になり、拠点を名古屋に移し、コロナがあって、
親の最期に接して・・・
自分の行動にも変化が起きた。
気が付けば、自分がこれまで辿って道を戻ってきているような感じだ。
もちろん世界各地に向け、また出発したい気持ちもなくはないけれど、
それ以上に、今はふるさとや自分が住んできた町、お世話になった人々が住む場所に
愛着を感じるようになり、そこでの活動が増えてきている。
知らない人との出会いを求める以上に、お世話になってきた人への恩返しを
と思う気持ちの方が強くなった。

外へ外へ・・という時代から、中へ中へ・・。
しかも外で経たさまざまな経験や学びを生かしての、中へ中へ・・・。

「どこへ行くの?」から、「修行を経て、帰ってきました」
という感じ。

その人は言う。
「結局、半径5メートルの人に喜んでもらえる人生が一番。」
確かに、人生は結果的にそこに向かうのかなとも最近思う。
有名になることよりも、見える形で誰かの役に立つこと。手ごたえ、実感のもてる
生き方。
「結局は、最後、ひとりで死んでいくんだからさ」
そう、結局はそこ。だからそこに向かってお世話になった身近な人に感謝し、
悔いない人生にしていくのが良い。


若い時は、時々帰る場所。遠くにありて思うふるさと。
かもしれないが、親を送るという経験を経て、ふるさとの在り方は
代わり、それがきっかけで自分の行動も変わることもある。

半径5メートルどころか広範囲に影響をもたらしている台風に翻弄されながら
朝を迎えた本日は、終戦記念日。
静かに暮らしながら、平和のなかで半径5メートルの世界を大切にしながら
生きることについて、見つめたい。
いろんな思いが入り混じる1日である。



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