蒸し暑いなか、昨日の岐阜新聞のコンサートには多くのお客様が駆けつけてくださった。
あまり暑いので、無理されてはと思い、普段よりお声がけを控えていた。
ところが、皆さん汗をぬぐいながら、会場においでいただいたようで、あたたかい拍手
に包まれ、演奏も無事開始。この暑さのなか、おいでになるということはよっぽど楽しみ
にしていただいているから。ということで、こちらの演奏にもつい、熱がこもる。
今回は「思い出いっぱい、夏のこころ旅」というテーマで構成。まずは、京都の祇園祭のことをうたった「紅い灯ゆらり」を歌い、引き続き、夏の旅ということで、世界の名曲の中から選んだ「ワルツ」のメドレーで世界旅行を楽しんでいただく。続いて両親のことを思ってつくったワルツ2曲「あじさい日記」と「夜想曲2021」を弾き歌い。そして、締めはふるさとの夏の風物である鵜飼いをテーマにしたオリジナル曲「やがて・・・」でクライマックス。
皆さんの笑顔と拍手で無事、終了。
その後、会場から親子連れの方が声をかけてくださる。
娘さんは私と同世代だ。前回もおいでいただいた方だ。
「連れてきました~。」どうやら、その方のお母様と、私の両親は仲良しだったようだ。
お母さまは「お父さん、お母さんとよく遊びに行ったよ。いろいろ連れていってもらってね。
いやー、懐かしい。あんたはお父さんそっくりかな。子供の頃、毎日ピアノのレッスンに
いってたね~。本当にお母さん一生懸命やった。ああ、今日は懐かしい」と話された。
娘さんが、お母さまをわざわざ会場にお連れくださったのだ。
コロナで最期の別れもできなかったから、と娘さんが気を利かして、私のコンサートに
親子で来てくださったのだ。
コンサートの間中、ずっとお母さまは、私の両親との楽しかった時間を思い出しておら
れたようだ。
この親子を出口までお送りし、そのお母さまの背中を見ながら、母の最期に会った元気な日の背中を思い出した。ああ、こんな感じだったな・・と。
今になっても、親のことを思い出して下さる方がいる。コンサートが思い出の場所、
時間になっている。そんな一面もとてもありがたい。
コンサートを通じて、音楽を通じて、親と出会った人たちが、心のなかで親との再会を楽しんでおられる。
そんな場をもてていることが、なんともうれしい。
少しは親孝行になっているかな。
私に音楽とのきっかけをくれた親のおかげで、今、小さな親孝行ができている。
としたら、とても幸せだ。
自分に会いに来てくださる方、親に会いに来てくださる方。どちらもいずれも、大歓迎だ。
おかげさまで、今回もいい活動になった。
他にも、いっぱいお声をいただいた。最近、声の調子が上がっているようで、ご好評を
いただいているのも、最高にうれしい。
これからも、こちらの道もがんばる。
そして今日は、昨日のお客様の笑顔と拍手を胸に、
もうひとつの道を全力で駆け抜けるとしよう。
ずっと親孝行ができる歓び。
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