長らくのご愛顧ありがとうございました、の文字に。

名古屋を拠点にするようなってから、ずっと利用してきた
名駅にある旅行代理店。切符の手配やいろいろ、お世話になってきた。
コロナ禍では、日本中が移動できなくなって、新幹線も今では
信じられないほどの、減便かつ利用者減。ほとんど空席の状態で
運行。利用する側には空いていて良かったけれど、赤字が累積
される状態は見ていて怖かった。この先、どうなるんだろう・・・。
出張に極力いかない時期が続いた一昨年、昨年前半・・・。

その間に観光地、繁華街の店舗が次々と閉店していった。
旅行代理店も同じく・・・。
あ、あそこも、ここも・・・。
便利に活用していた自分にとっては、だんだん店がなくなって
いくのが寂しくて・・。
もちろん切符自体はネットでも購入できるけれども、
電話一本で、予約できたり、顔を見て気軽に話しかけたり、
コロナのときは励まし合ったり・・・。
お客とお店の関係ではあったけれども、ともにコロナ禍も生きて
いきた、戦ってきた仲間ともいえる。

その一番愛用していたお店が、この6月末で閉店となる。
今年になって店に行くたびに、扱い商品が減っていたり、閉店の告知とともに
ネット販売のお知らせ・・・。店にくるお客もどんどん減っていき・・・。

そんな店舗内に大きく掲げられた手作りpop。
「長らくのご愛顧、誠にありがとうございました。」
店の外を行く人の目にも飛び込んでくる大きさだ。

ああ、いよいよ本当になくなってしまうのだ。
カウントダウン。
コロナ禍を一緒に乗り切ってきたから、なんだか寂しい。

スタッフとも仲良くなってきたため、そんな会話もする。
「もう、ほんとうになくなってしまうんやね。さみしいね」
「ほんとうに、コロナのときもお世話になりました。
旅行支援でパニックになりそうなときは、いろいろご協力も
ありがとうございました・・」
いろいろ、覚えていてくれるのがうれしい。
若い人たちが、旅行代理店で働くというのは、どんな背景なんだろう、
案内している先々のすべてを体験していなくても、さも知っているように
説明するというのもなかなか大変だな。
それにしても根気のいる仕事だな。
代理店を使用する人の中には、旅慣れしていない方も多いため、
その対応に手を取られる。
待ち時間にその光景を見ながら、勝手に想像するのも楽しかった。
そんな時間とも、お別れ。
どれほどのお客さんの旅の手伝いをしてきただろう。
ネットではなく、来店して利用する人にはその目的がある。
それがなくなるのは、コロナのせい。でも、考えようによっては
コロナによって、ビジネスの有り様が大きく変わったのだ。
これは、企業である以上、やむない選択だ。
店舗をもつ負担の軽減から、ネットに切り替わるサービスは
もっと増えていくだろう。
ITに慣れない人、とくに高齢者の方には、旅もしづらくなるのかも
しれない。

飲食店でも、他の業態でも、コロナで去っていくお店は
まだまだ続くだろう。
何とも言えない気持ちでいる。

コロナを一緒に生き抜いてきたから・・。

改めて思うのは、顔の見えるコミュニケーション。
このニーズはなくなることはない。

最終日まで、できたら、もう一度、彼らに会いに行こうと
思っている。

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