「口コミ」注意報

あるお店の責任者に久しぶりにお会いする。相手が商売をされていると、「お元気ですか?」の次に「お店、どうですか?」と声をかけるのが習慣だ。
そのお店、リピーターも多いので順調かな?と思っていたのであるが、ここ何か月か大変だったとのこと。そのわけをたずねると、あるお客さんとの小さなトラブルで、そのお客さんが評判を落とすような発言を影でいろいろ言われたということもあったそうで客数が減ったとのこと。ご親切にもその噂を聞いたリピーターのお客さんがそんなことを言われていますから、気を付けた方がいいですよ。とお店に教えてくれたとのこと。お店の落ち度がなくても、お客さんの受け留め方次第で、あるいは「自分は客である」という立場から・・ということで「あの店は・・・」と不快に思い、自分だけに留めておけばよいが人によっては攻撃なのか、腹いせなのか?あるいはそこまで考えていないが思わずなのか・・悪い評判につながる発言をされることもある。
今、世間は口コミ中心社会である。しかも話す口だけでなく、SNSなどパーソナルメディアから発せられる文字・言葉が口コミとなって、いいことも悪いことも増幅され、拡販されてしまう時代。その発信者が有名人など影響力ある人とされている場合には、その伝わり方はスピードも、量も半端ではない。それで恩恵を受ける人やお店もあるが、その逆の場合は本当にたまらない。そんなつもりで商売をやっていないのに・・と邪魔をされてしまうこともあり、経営的危機に及ぶ場合もあるときく。
どんな仕事も相手があって成り立つので、とくに客商売・サービス業は一人ひとりのお客さんへの対応に対して、配慮が大切だ。とくに今の時代は、迎合しすぎる必要はないけれど、きめ細やかなコミュニケーションは大切だ。正義だけでは世の中渡れないこともある。
もちろん、客を選びたい場合は、そんな必要はないけれど、そういうつもりじゃないのに
という結果になることもあるので、ひとつひとつを丁寧に対応するマメさが必要だ。
最初の話に戻るが、そのありがたくない口コミをされたお店、そうはいっても実績があるお店であるし、最近は徐々に回復の兆しも出てきたようで・・と聞き、安堵する。それはその口コミに関係ない人たちの信頼が高いからであろう。
おそらく今後の接客は今回のご苦労を踏まえ、工夫・改善されるだろう。そして今回のことをバネにこれを生かしていただきたいと思ってしまった。不本意であっても「うまくやる」ということも時には必要だ。
口コミの時代だからこそ、気を付けることがたくさんある。口コミに頼りすぎず、むしろ誰かの口コミや評判に頼らず、「直接の関係」を個々に地道に創り続けることで、顔の見える信頼を強固にすることに重きを置きたい。
口コミはありがたくもあり、おそろしい。うーん、私自身も気を付けよう。

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