あの頃に戻りたい。

今月に入って、京都はコロナ前の賑わいを取り戻して
いる。国内のシニア旅行者(とくにおばさま)に加え、海外特に
欧米からの旅行客グループ、
そして卒業、入学で若い人たちの人の大移動。
このところの京都駅や、繁華街の混雑ぶりは、コロナ前に近い
状況だ。
できれば、通らずに済ませたい。裏通りを歩きたいと思い、
道を選んで移動。
品川駅の朝の通勤ラッシュのように、慣れた人たちでの
混雑と、その土地に慣れていない人たちの混雑はちょっと違う。
人がたまって動かないし、通路をふさがれるので移動しづらいのだ。

路線バスも、まだ大きなキャリーバッグをもって乗り込む人
には、まだ幸い出会っていないが、マスクなしの欧米観光客の
大グループが乗り込まれ、大きな声で会話し、そして笑い声が響く車内。

この三年間、なかった光景だ。
マスクをして、静かに乗車している日本人とは対照的なはじけた
旅行客・・・。確かに念願のKYOTOだから、楽しいのはよくわかる。

こういったお客様の上洛で、京都の町は生き返ることができる。
とにかく観光客あっての京都である。
そしてこの花見の時期は、とくに魅力的なシーズン・・・とあって
京都は人、人、人。
観光客相手のお店やサービス業にとっては、安堵の春だろう。

そんななか、京都で暮らし仕事をしている人との会話。

「なんか、人が戻ってきましたね~。すごい人や。
あのコロナのときの京都が良かったですわ。静かで」
「ほんまやね~。私もあの緊急事態宣言の前後にこっそり行った
清水寺、今も忘れへんわ。誰もいなくて、本当に清水寺ってこんな
にいいとこやったんやと思ったわ。もうあんな経験は絶対できへんと
思うわ」
「ああ、コロナの頃は良かったですわー。ほんまに」

コロナが落ち着き、それぞれが経験したその時代を思い出す。
個人的には感染しなかったことは幸いであったが、変な思いをされた
方で、今も後遺症や影響が残る日々を送る方もおられるし、
ご家族を亡くされた方もおられ、自分の親もコロナがなければ
人生変わっていたかもしれない・・・など、想うことは尽きないが、
コロナはいろんなことを教え、与えてくれたことは間違いがない。
コロナで変わったことがたくさんある。
気づいたこともたくさんある。

そのひとつが、京都の本当の魅力の発見であった。
ああ、あの静かな京都に戻ってほしい。
でも、町の存続を考えると、それでは成り立たないから
いたしかたない。

京都に住む人は、きっと毎日そんなことを感じながら
春を過ごしておられることだろう。

ああ、あの頃に戻りたい。
コロナ前に、いやもっと言えば、もっともっと昔の京都に。
40年前の京都に・・・。自分も京都に住み始めた頃だ。

春。風が吹けば桜吹雪が舞うだろう。
今がピークの、京都。KYOTO。みんなのきょうと。

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