心に咲く、パリの傘

仕事で長年お世話になっている方。彼は同い年で、本当に長くよくしていただいている。
公私ともに信頼できる大切な友人でもある。仕事でもお世話になり、それ以外でもいろいろ応援いただき、そして私も彼のことをいつも応援している。
そんな彼がヨーロッパ方面へ出張に行くとの知らせ。一方、パリのある店にある観覧車柄の新しい傘が気になっていた。次回のライブに使いたいとも思っていた。毎週届くメルマガを見ながら、こればっかりは通販で取り寄せられないし・・・。そんななか、彼がパリにも寄ると知り、これ以上厚かましいことはないとわかりつつ、一生に一度のお願いをしてみた。
自分も出張に出ることが多いので、実は頼まれごとがいかに負担をかけるかもわかっていたのであるが、自分もしばらくパリには行けないだろうから、ダメもとでお願いをしてみた。
すると、彼は二つ返事で、「はい、ミッション果たしてきますね」と言って出張に出かけた。そして旅先から「パリに着きました。例のブツ、入手しますね」とご丁寧にメール、そしてまた「まだみつけられてないですが、あと2日あるので探しますね」とまた中間メール。そして最終日「その店にはなんとかたどり着いたのですが、あいにくそのお目当てのもがなくて・・・ごめんなさい。ミッション果たせず、後ろ髪ひかれる思いでこれから帰国の途に着きます。ごめんなさい」と眠ったあとメールが入っており、夜中にみつけて、すっかり目が覚めた。ああ、探してくれたんだ~。彼がパリに着き、仕事の合間をぬって、パリの街中でそのブティックを探し・・・そして店をみつけた瞬間、入った瞬間、商品を探した瞬間、きっと店の人にも尋ねたかもしれない、そしてないといわれた瞬間・・・・。と、いろんな場面を想像しながら、彼に感謝と申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
と同時に、本当にいい人だなと改めて彼を好きになり、そう思うと、「はい!これ~」と傘を渡してくれると同じぐらい、それ以上に素敵なものを渡された気持ちになった。
そう、心に咲くパリの傘。これは、パリを思うたびに思い出すエピソードになりそうだ。自分の代わりに探すのは面倒なことで、頼まれたくないことのはず。なのに、ありがたい。
グラン・ルーのふるさとパリで、観覧車の傘を探す・・・このミッションを共有できた1週間、このことも忘れない。

カテゴリー: Essay (Word) パーマリンク