この墨絵のような世界は、新潟へ向かう飛行機の中から見えた景色だ。
「新潟の雪の状況により、着陸できない場合は名古屋へ引き返すこともあります」と
言われた条件付きのフライト。
それを納得済で乗った。目的地に近づくにつれ、ドキドキしてきた。
ああ、もう新潟だ。
この写真の風景を見て、もう近くまできたのだから、このまま着陸できるのでは…
と思った瞬間、景色が消えて窓は真っ白になり、そして飛行機が瞬間、上昇した。
「あ、やばい!」
下降できないんだ・・・。そのあと、飛行機は日本海の上を旋回。ああ~。
時計を見ると、もう到着時間に近い。
空港で待ってくれているお客様のことを思う。
「ただいま、着陸のため空港に目がけて侵入を試みましたが、雲の影響で視界が閉ざされ、
失敗しました。もうしばらく旋回を続け、雲の切れ間を見つけ次第、再度侵入します
ので、しばらくこのままお待ちください」
この青空が見えた瞬間、飛行機が車輪を下ろしたとのアナウンスが入り、心のなかでパイロットの腕に期待、「お願い!うまくやって!」と祈る。
しばらくしたら、飛行機は着実に下降し、雪が積もる新潟空港に無事、着陸した。
その瞬間、私はひとり誰にも聞こえないように、拍手をした。
その昔、アメリカの飛行機に乗った際、難しい天候をきり向け無事に着陸した瞬間、機内から大きな拍手が沸き起こるという光景をふと思い出したからだ。
無事、着陸してよかった。これで予定どおり今日のスケジュールを進められる。
遅れは10分ほどで済んだ。念のため帰りのフライトの時間の天候を考え、一便早める手配をとり、帰りも無事戻ることができた。やれやれ・・・。
雪の日の飛行機の選択はチャレンジになる。
でも、名古屋と新潟というこの位置関係、距離の場合、陸路より航路が断然便利になる。
もちろん新潟といえども南北に長いため、新潟市より北(下越地方)に行く場合は
航路がベターで、長岡であれば、新幹線を選択する。
あとは、運任せ。
その日の天候、その日のコンディション。
何ひとつ、自分の力だけではどうにもならず、すべてはさまざまな力のおかげで
自分の1日が成り立つ。
それにしても、今回のパイロットさんの腕はなかなかであった。
雲のなかを突っ込んでいく勇気、正しい判断。人命を預かる仕事は本当に大変だ。
わずか1時間あまりのフライトではあったが、空から見えた、地上から見るのとは違う
越後平野のスケールに久しぶりに感動、そして緊張。
とても貴重な朝をいただいた。新潟はドキドキわくわくする、愛すべき心のふるさとだ。